国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   人間関係   ミュウ

 火は危ない存在である。しかし一方で、火は人間が生活する上で欠かせなくなるとともに、密接な関係を持つようになった。そうして、火の周囲には自然に人々の輪が生まれるようになった。例えば、バースデーケーキに使う蝋燭に点す火の周りにも、明かりを求めて人は近くに寄り添うし、打ち上げ花火を見にわざわざ遠くから観客が集い合う。ただし、これらの共通点は、火がより危険になるのを防ぐため、危険人物とではなく仲がよい者同士で集まるということだ。そのためか、火は避けられ続け、最近見かけなくなった。暖炉の代わりにエアコンが登場し、ガスコンロも電気のものへと移り変わりつつある。火と人間の関係が薄くなるということは、人間関係も希薄なものになっているということだ。何か火に代わるもので、賄えることはできないだろうか。
 火や水は原始的であり、身の回りに溢れているものだ。だからこそ、人間はそれらに慣れてしまい、それらに対する感覚が鈍ってしまうのである。たった一本のライターでも、何かの拍子に大火事になってしまう場合がある。また、夏場には海水浴の途中に溺れてしまう人が続出するという状況だ。
 そこで、植物はどうだろう。ずっと昔からあるが、身近にあるとは断定できない。一軒家に住めば、庭に草花や木を植えることができるものの、アパートやマンションの住民にとってはそのようにはいかない。近所にあった林も畑のために切り倒されてしまうほどであり、残るは公園ぐらいだ。そこで、観葉植物を購入し、室内で眺めて心を和ませるという人もでてきているようだ。植物は永遠にあるものではなく、やはり時には枯れてしまう。だから、植物の世話は手厚くする。その感覚は鈍らずに、人々は安全に取り扱うように心がける。火などの危険なものには一切近づけないようにするのだ。たいていは、日当たりがよい場所に置くが、居間に置く家族も多いのではないか。その植物を中心として円を描くように団欒すると、よい関係が生まれるはずだ。
 地球の環境を守るために世界各国で植林活動が活発に行われているが、それに伴って、人間関係が希薄な状態から脱出してほしいと思う。

   講評   nara

 火を遠ざけて、火から隔離された生活を送りつつ、イベントには火をむしろ積極的に用いる……現代人の火との距離感覚は微妙なものがありそうだね。ミュウちゃんの後半の論とはやや異なるけれど、水や土、植物に対しても、この微妙な距離感というのは見て取れるように思うよ。例えば、泥だらけで遊んでくる子どもをしかりつつ、ガーデニングには好意的。だけれども、虫食いや形のいびつな野菜は流通しない(つまり買い手がいなくて売り物にならない)などなど。現代人は便利で快適な人工的な世界の中に住みつつ、原始的な感覚を引き摺りながら、日々生きているのかもしれないね。
 長文の「火」という題材から「植物」に置き換えたところが、やや説明不足かな。「そこで植物……」のところにもう一言加えたいところだな。特に、火の場合は、ややもすれば生き物の生命力に大きな脅威を与えることがあるけれど、植物の場合はそこまでの力をイメージさせない。それゆえに、作文の印象が弱くなっているのが残念だな。
 まとめの段落の「地球環境」とその直前の「一軒家・アパートマンション」というギャップも大きいかな。一足飛びに話を進めてしまった感がある。団欒という言葉の持つイメージと、世界各国というイメージが重ならないから「一足飛び」という印象になっているのだと思うよ。
 今回のような作文を書くのも、なかなかおもしろいでしょ。今までのかっちりとした論の展開が、思いのほか自分のものになっていたということにも気づいただろうね。中学3年間、内容も組み立てもしっかりと学べたと思うよ。卒業おめでとう。高校での活躍も楽しみにしているよ!

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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