創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   火による力とは   はる

第一段落 要約・意見

 イロリの社交は、家族結合の社交であった。一家団欒という言葉は言うまでもなく、家族が同じ火を囲んでいることを指した。一つの火を通じて心が通い合う、そういう不思議な力を火は持っていた。しかし、家族だけではない。客人もまた、同じ火を囲むことで他人ではなくなる。火は人間を近づけるのである。火の共有による親密な人間関係は、調理の火を考えてみればよく分かる。「同じ釜の飯を食った」関係、というのは、遠慮のない親しい関係ということだ。茶の湯もまた、ある意味で火の共有を象徴する社交の形態であった。小さな風炉とカマ、そこからまさしく茶の湯が生まれる。茶会は同じカマから作られた、同じ味覚を共有する深い人間関係を形成してゆくのである。このように、火は人間の心を和ませてくれる。私達は、このような非合理的な気持ちも大切に生きていくべきではないか。

第二段落 方法1・体験実例

 そのためには、実際に非合理的なものを使ってみることが大切である。要約の中心となった『火』で取り上げてみる。まず、イロリだが、これには秩序がある。そのため、個々の座も決められてくる。土間に面して一番奥の辺の横座には戸主が座る。横座から見て左側の辺には家の女達が座るカカ座。そして客人の席、すなわち客座は横座から見て右、横座の正面は使用人や嫁の座る下座など、これが一般のイロリの座の割付であろう。冬の夜など、イロリを囲んで世間話がたえない。火によって奏でられる独特な背景音は、その明るさとともに、家庭の健在をしめす象徴となった。次に、調理の火は、暖房や照明の火よりも更に深い共通感覚を私達に与えてくれる。なぜなら、同じ火で調理されたものを飲食するからである。また、要約には述べなかったが、鍋料理などもそうである。このように、一見、非合理的に見えがちなものでも、試してみることでそのもの自身を理解することができる。そして学べるものも数多くあるのだ。

第三段落 方法2・伝記実例

 また、社会の仕組みも、非合理的なものを大事にし、余裕のあるものにすべきだ。アメリカの大統領F・ルーズベルトは、定期的な「炉辺談話」番組で国民に親しく話し掛けていたという。番組の題名にある「炉辺」という言葉だけで、大統領と国民はぐんとその距離を縮めることが出来たのだ。また、私の学校では入学式やミサなどで『光の分かち合い』をする。この『光の分かち合い』とは、まず、教師・生徒の全員に一人一本ロウソクが手渡される。そして、担任が自分のクラスの生徒へとロウソク同士で光を分かち合うのである。これによって、火は火自身のみで燃えているのではなく、まわりをもほのかに照らしていることに気付く。また、不安定な灯火でも、その演出によって私達を和ませてくれる。

第四段落 反対理解・名言の引用

 確かに、熱や光を取るという目的がはっきりしている時に、合理的にその目的にかなった手段を選択することは大切だ。しかし、私達はもっと非合理的な気持ちも大事にしていくべきではないだろうか。『雑草とは、まだ、その美点が発見されていない植物のことである』。私も、このように非合理的なものの美点を発見したい。そして、自分自身と共にいかしていきたい。

   講評   tama

第一段落: 囲炉裏に代表されるように、火は人間の心を和ませ、お互いの距離を近づける役割を果たしているという主旨をまとめることができました。「非合理的な気持ちも大切に」という意見もいいですね。

第二段落: 現代では囲炉裏は見られなくなり、こたつを囲んだ「茶の間」も姿を消してしまいつつあります。これらのよさに触れるため、「実際に使ってみる」(=体験する)という方法を考えたのはなかなかいいですよ。大勢で囲む鍋料理などは、その楽しさに病みつきになるかも(笑)。

第三段落: 忙しい現代人には、非合理的なものを楽しむ余裕が必要なのかもしれません。日常の喧騒から離れ、ロウソクの明りの中で行われる神聖な儀式は気持ちを和ませ、精神的な余裕を生むことでしょう。体験に裏付けられた意見を述べることができました。

第四段落: 非合理的なものの美点を発見したいという意見もいいですね。巷では「アロマキャンドル」と呼ばれるロウソクに人気が高まっているようです。このようなものこそ、私達の心に潤いをあたえるのかもしれません。



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