低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
初めて一人で乗る電車 うさちゃん
「今日は一人で行かれるよね。」
車から降りて、私は大きく深呼吸をしました。横断歩道を歩く私の心臓は高鳴っています。地下鉄の改札にはエレベーターで降ります。エレベーターに乗る時、お母さんが車の中から手を振っているのが見えました。
きっぷを買って、ホームまでダッシュで階段をおります。「そろそろだな。」私は塾のかばんを持ち上げて近くの時計を見ました。
「キン・コン・カン・コ〜ンまもなく二番線、大門、六本木経由、光が丘行き電車がまいります。」
高鳴る気持ちをおさえながら、電車の中に足をふみいれました。三駅、席に着く余裕もなく、目的地に着くのをまちました。周りの人に、
「座らないの?」
と聞かれたけれど。
「座ると気持ち悪くなるので、どうぞ。」
と席をゆずりました。本当は、心配で座ることができなかったのです。
「門前仲町、門前仲町、東西線はお乗換えです。」
「この駅だよな!」私が一番心配していること、降りる駅を間違えないこと。何回もたしかめながら電車から降ります。「ついた!」私はルンルン気分でスキップをしながら、階段をのぼりました。外に出ると、風が、まるで「がんばったね。」とほめてくれたように私の顔をなでました。
初めて一人で乗る電車。完全に電車と駅名をおぼえるまで、三回もお母さんに付いて来てもらいました。三回目の時は、
「今日は一人でいかれる?」
「もう一回付いて来て!」
そして四回目の今日は、
「もう一人で行かれるよね?」
「・・・・」
本当は「もう一回!」と言いたいところですが、さすがに言えませんでした。不安な気持ちで出かけたけれど、終わってみると、一人でできたという充実感で、なんだか少し大きくなったような気がしました。何事もチャレンジしてみることだなと思いました
バスには、ずいぶん前から一人で乗っています。一年生のころ、プール教室に通うためです。お母さんに書いてもらったメモをにぎりしめ、運転手さんの後ろの席に座ってドキドキする心臓をおさえながら、電車の時と同じようにバス停に着くたびに駅名をたしかめました。あの時、バス停の数を数える手が汗ばんでいたことをよく覚えています。一人で初めての電車、あの時バスに一人で乗れていなかったら、こんな勇気は出なかったでしょう。
「お帰り、どうだった?」
「電車に一人で乗るの、楽しかったよ!」
ドアを開けると、いつもの温かい笑顔が返ってきました。わたしは、塾のかばんをそっと床におろしました。
講評 tama
進級テストのときよりも、さらによい作品に仕上がっています。大冒険をして、ひとまわり成長したうさちゃんの笑顔が目に浮かぶようです。
たいへんよくできました。
※ 31日はお休みです。次回は4月7日にお電話します。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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