創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日2569 今日1533 合計4146
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   手が届きそうな目標に向かって   アスラン

「やれば、出来るじゃない。」
 先生は合格印を10個くれた。90点台は3個。1問、間違えただけでも3個—100点なら10個。この大きな違い!!やっと貰えた。
 桜の花の満開に合わせて春期講習の漢字テストも4日目にしてやっと満点がとれた。それまで連日、必死に覚えたのに惜しくもミスの連発だった。だから今回は正直うれしかった。こんな些細なことでうれしくなるのは絶対に満点をとるぞという自信があったにもかかわらず、惜しくもそれを逃した悔しさがあったからだ。気合をいれて必死に憶えた。けれど残念な結果が数日間続いていた。最終的には満点をとれたらご褒美という目の前ににんじんをちらつかせた母の誘導があったが、意地でもここでとらないと後がないという気持ちで最後の力を振り絞った。(ちょっと大袈裟・・・)
 つい最近までぼくには目標というものが明確になかった。WBCを観てイチローのような選手になりたいとかそんな漠然とした夢みたいなものはあるけれど具体的に今何を目標にがんばるべきか、とかあまり考えていなかった。すべてにおいてただ目の前に与えられるノルマを黙々とこなしているに過ぎなかったのだ。それが今回自力でやってやるぞと気持ちに変化が現れたのはある塾のテストを受けたことがきっかけだった。緊張してあまりいい結果をだせなかったが、その時の気持ちを別の塾の体験学習の作文で綴った。書いていくうちに自分のやるべきことや目標が整理されていったのだった。そして母のいう自分で壁を乗り越えろということがわかったような気がした。
 母は毎朝今日中にやるべき目標を決めている。大きなことではなくそれは仕事や家事以外に本を必ず1時間読むとか、エクササイズをするとか、ある資格試験に合格するために勉強するとか。そしてそれが出来た時はぼくがゲームで全クリしたときと同じように達成感があり、またつぎの目標を少し高めに設定するそうだ。
 ある記事によると、何か物事を達成しようとする目標には自我目標と課題目標の2タイプがある。以下抜粋———たとえばオリンピック選手で金メダルを絶対に取るというのは自我目標で自己ベストを一秒縮めたいというのは課題目標。確かに誰でも金メダルがほしいはずだ。自分に金メダルを取れる能力があると強く信じている場合は「金メダルがほしい」という自我目標をかかげることでモチベーションを高く維持することが出来る。しかし自分の能力に自信がない場合に自我目標をかかげると競争相手の情報を知るたびにプレッシャーを受けたり、もし金メダルを取れなかったらと考えるだけで自信を失ってしまい練習に集中出来なくなる。そんなとき自己ベストを目指すという課題目標に切り替えると周囲の雑音に惑わされることなく前向きにトレーニングを続けることができ、結果自己ベストを更新することが出来る。———
 ぼくの場合を当てはめるとテストでいい点をとる奴をみるとそれだけでぼくには敵わないと諦めていた。野球のピッチャーに突然抜擢されると投げているうちにプレッシャーで押しつぶされそうになった。明確にピッチャーとしてやっていきたいと目標をもって努力をしていないから自信がないのだ。思うに今までぼくの目標は周りの人が決めていた。ぼくの能力とは関係ないところでそれはそれは高いハードルを有無も言わせず置いていった。そしてスタート地点に勝手に並ばされてピストルが鳴るのだ。結果的に目標達成に失敗する経験ばかりが増え挑戦することを諦めてしまうようなネガティブな気持ちに追いやることになっていた。だが自分の意思で目標設定ができるようになったいま周囲に惑わされることなく課題目標を意識して自己ベストを更新していこうと思えるようになった。自分で無理のない目標を決め、コツコツとそれにむかって努力することは人間にとって進歩をもたらす。成功体験が自信とやる気を維持し新たな挑戦へと力強く後押ししてくれるのである。
「そう、やれば出来るじゃない。」
といつも励まされながら・・・。
                  

   講評   hamura

 題名だけでは内容がピンと来ませんでした。だから読みたくなった・・というのは、つまり、書き手にとっては成功ということです。漢字テストの話やお母さんの話などを取り上げて、大変読みやすく理解しやすい文章の流れになっています。けれども特に上手な部分は、「つい最近までぼくには・・・」で始まる段落です。前後の具体例に基づきながらも、自分の内面の状況を自分の言葉で的確に表現しています。これはとても難しいことです。自分のことを書きながら、一般論につながる考えを展開していて、しかも読み手に強要ではなく共感を持たせることのできる文章です。ただ作文上の文章力だけによるのではなく、思考力や分析力全般の力があるのでしょう。こういう事も、自力でやる気を出して目標を整理したから、できたのだと思います。 引用文の明示やたとえも正確にできました。「手がとどきそう」「無理のない」という、一見消極的に響く目標が、実は「努力」と「あらたな挑戦」を生み出すものだという展開としめくくりがとてもよかったです。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)