創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   さようならO先生   オーロラ

 「それでは、転出される先生の紹介をします。」(書き出しの工夫)
校長先生の声で、ざわざわしていた校庭がいっせいに静まり返った。
「まず一人目、O先生です。」
「えーーー。」
みんなはおどろきの声を上げた。O先生は去年来たばかりで、みんなにもけっこう人気があったので、私もショックを受けた。
 O先生は、クラスを半分に分けてやる算数の先生だった。4年生のとき、私はO先生の方のクラスになった。あるとき、授業がいつもより早く終わったので、先生が
「じゃあ、今日はマジックをやろうか。ものさしを使ったマジックだよ。」
「やったぁ!」
みんなは喜びの声を上げた。その間に先生は、かげで何かをやっていた。先生の方からはセロテープを切る音がする。だから私たちは大声で
「ああ、セロハンテープで止めている。絶対そうだよ。」
とみんなに伝えた。
 さて、先生のしかけが終わると、いよいよマジックの始まりだ。まず、先生がものさしを持っていないのにものさしが手にくっついていて、その腕をもう片方の手でおさえて
「これはどうしてでしょう。」と聞いたので、みんなはすぐに
「セロハンテープでとめているから!」
と答えた。すると先生は
「ちがいまーす。実は指で押さえていたのでーす。」
「えー。そんなのずるいよー。」
「はいはい。では次を始めるよ。」
そしてまた先生がさっきと同じことをして、
「今度はどうしてでしょうか。」
今度はとまどいながら
「セロハンテープでとめていたから……カナ?」
という人もいるし、別の案を考えて言った人もいた。先生が
「正解は、もう一つのものさしで支えていたからでーす。」
「ああ、そっかー。」
「そういうことねー。」
今度はみんな納得した。最後に先生が
「さあ、最後は何ででしょう。」
みんなは、もうセロハンテープはないと思ったので、いろいろな案を出した。そこで先生が
「答えは……セロハンテープでとめていたからでーす。」
「えーーーーー。」
「ずるーーーい。」
これで算数の授業は終わったのだ。
 もう一つ、私が先生にお世話になって心に残っていることがある。授業で手を挙げたのに時間が来てしまって指されなかったとき、
「鴨澤さん、今日はいっぱい手を挙げたのに指すことができなくてゴメンネ。次回はいっぱい指してあげるからね。」
「は、はい……?」
私はびっくりして、何だかあいまいな返事をしてしまったが、そのときはとてもうれしかった。そして約束どおり、次の授業ではたくさん私を指してくれた。そのことは、今でもとても感謝している。(体験実例)
 そういうわけで、始業式では、今までのことに思いをめぐらしていた。でも、新しく来た男の先生を見たら、そんな思いも吹き飛んだ。その先生は、見た目や声までO先生にそっくりの、まるでO先生2号だったのだ。何だかちょっとさみしさがまぎれるような気がした。
 別れというのものは、悲しいけれど、別れをきっかけに、毎日会っているときよりも、その人について考えたり、その人のことをよく思い出すものだということがわかった。私は、O先生に教わったことを、いつまでも忘れないだろう。

   講評   nara

 オーロラちゃんの学校は、クラス数が少ないから、その分学校の先生とも接する機会も多く、思い出もたくさんあるのだろうな。たった1年、それも担任の先生ではないのに、オーロラちゃんの心の中にはO先生の思い出がずいぶんあるのだね。ものさしマジックの場面、ある日の授業のときのこと、それぞれ、つい昨日のことのようにくわしく記憶に残っているのだなぁ。それだけ先生のことが好きだった、ということなのだろうね。
 「今日は……ゴメンネ。」という話もいいな。こんなふうに、先生が自分のことを見ていてくれていたというのは、意外でもあるしうれしくもある。何だかくすぐったい気がするね。そして、「次回は……。」という約束もしっかり守ってくれた。一つ一つのことはささいなことかもしれないけれど、その積み重ねが、好きという気持ちや信頼のもとになっているのだとわかる具体例だ。
 「別れというものは……」というまとめがうまいなぁ。このまとめがあることで、ぐっと作文が大人っぽく仕上がったよ。そうね、別れにはいろいろは別れがある。別れがあることで、いろいろなことに気づく。別れを通して、相手(O先生だったり、転校していく人だったり)が何かを教えてくれるということだね。オーロラちゃんも上級生になったなぁ。そう思わせる、いい作文が仕上がった。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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