総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。 ＡＩ時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。 ▶ 創造発表クラスのご案内

昨日2788 今日1339 合計13481□

　　　後戻りのできない道　　　一休さん

　　　後戻りのできない道
　一休さん　
　太陽の暖かい日差しが部屋に差し込んだ頃、僕の携帯が唸り出した。昔は、ドラえもんの目覚し時計を合図に起床していた。しかし、近代になって携帯電話が世間に流用され、アラームシステムを利用する人達が増大した。その中の一人である僕は、「新世界」の音楽と共に今日という一日の始まりを噛み締めるのだ。一日の流れは、テレビの時刻に従って、家を出発して、学校の電波時計を見て授業を受けて下校する、といったものだ。テレビ画面に時間が無表示である場合、自分自身に湧く不安感や授業の残り時間をしきりに気にする心境は、自分でも末恐ろしく思う。だから僕は、時間に規制されない生き方をしたい。
　その方法は、大いにゆとりをもって生活する事だ。しかし、悲しい事に現代人は「余裕」という言葉を理解していない。その根拠は我々人類の生活を観察すればすぐに分かる。朝は慌しく仕事に出かけ、昼間はろくに休憩せずに仕事に没頭し、夜は風呂に入って就寝する。御覧の様にこの生活を営んでいる人は余裕が全く無い。確かに、一日をダラダラと過ごす子供や真面目に働かない大人などが実在する。しかし、この生活は「余裕」ではなく「空き時間」が存在しているとしか言えない。「余裕」とは意義のある時間に挟まれた必要なものと捉えられる。現在の世界の人々の寿命が年々伸びている事によって、「青春時代」や「老後生活」という憩いの期間が増大した。それに関わらず、人々は忙しく動き回っている。何故かと言うと、時間の効率化を目指している人間にはゆとりが無くて、ゆとりを無駄な時間と判断を下すからだ。僕も、学校や塾によって一日の大半を奪われている。やはり、いかに無駄が無く行動できるかが要点になると思考し余裕など鼻から考えなかった。ある出来事が僕の時間への態度は急変させた。それは時計の持込を禁止された学校の自然合宿である。先生が言うには今回の合宿の目的の一つに、時間に対する意識の変換することらしい。この合宿の目的が達成された事は自身で一番理解できたと思う。時間が分からないため、太陽の傾き具合を頼りに生活するのだ。余裕のある日々を過ごす内に時間のない生活をおくる時間の大事さが僕の身に染みた。気にするべきものが無いあの開放感は一生僕の心の奥底に残るであろう。（体験）このように、ゆとりを持つ生活は人に大切なものに気付かせてくれる。
　第二の方法は、一つの物事に熱中する事だ。時を忘れてその事に没頭する物事は人によって多種多様であろう。ゲームや研究など自分が得意あるいは好きな事をしている際は、簡単に時間が過ぎる。逆をいえば、苦手もしくは嫌いな事をしている際は、時間が長く険しく感じられる。容易に時が過ぎる感覚は心地よいもので結果的に良いものが多い。有名なエジソンは、時を忘れ研究に専念する姿とその素晴らしさを現代の人類に教え続けている。同時に天才の可笑しな面も継続しているが…。（笑）規制の無い時間は一つの物事に熱中できる喜びを人に与えるのである。
　確かに、規則正しく生活する事も正しい人間性を導き出すが、時間に束縛されない生活も良い影響を与える。その時間軸を生きていく人間は時間をどのように扱うか選択できる。時は常に流れ続け止まらないもので、一度選んだ選択肢は撤回できない。だからこそ、正しく余裕がある生活を営み後悔の無いような人生が望ましい。「時間を作る第一の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うか考えることである」という名言通り、後々反省する必要性が出てくる忙しい生き方よりも余裕のある切実な生き方が大切だと思う。

　　　講評　　　miri