低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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対人関係の微調整 タクミコ
その昔、サングラスを持つということはちょっとした冒険であったが、今となっては普通にサングラスをかけて街を歩く人は少なくはないのである。「サングラス」の存在の意味は昔に比べて近年変化しつつある。対人関係が淡白になった世の中で育ってきた人々はサングラスをかけることによって自らの存在を隠そうとし、害の及んでこない安全地帯にいるという錯覚を得て、さらに、自分達の内面にある自閉的な要素によってそれを快いと感じるのである。しかし、果たして隠れることが何になるのだろうか。今の日本はあまりにも人と向き合わない人が増えてきているという問題を抱えている。
その第一の原因は社会全般においての希薄な人間関係にあるといえる。自分にとって必要な存在でない限り、私達はそこまで親しく周りの人間と付き合わない傾向にある。例えば、私は近所の方と簡単な挨拶やちょっとした会話をするものの、家族構成や出身地など、不思議なことに名前以外のことはほとんど何も知らないのである。三年間も同じ地域に、一緒に暮らしてほぼ毎週会っているにも関わらず私は近所の方とはとても「親しい」と言える間柄ではないし、お互いに面識はあるものの「隣の人」の他何でもないのである。このことは近所の人だけでなく、学校や会社などでも共通することではないだろうか。
また、人と向き合わない若者が増大する第二の原因は物騒な現代社会の中で必要以上に脅威になりがちであるということだ。「危ないから知らない人とは話さない」「知らない人に話しかけられたら逃げるのよ」など、最近の子供達は色々なことを大人に注意され、教え込まれている。それは毎週のように不審者が出現した・小学校の女の子が殺害された、などという信じられないニュースが報じられるからである。もちろん、そのような悲惨な事件が多発している中で子供を注意しない親はいないが、あまりにも大人が緊張してしまうことによって現代の子供達は何事にも不信感を抱く世代へと成長していってしまう恐れがある。
確かに、不審者への警戒心を持ち、自己防御をきちんとすることは大切である。しかし、それを過剰にやりすぎてしまうと何事も信用できない人へと成長し、「個人」のみが存在する、それぞれが互いに隔離された世の中になってしまうのである。隠れるのでもなく、不審者と関わりを持つわけでもなく、その中間地点での対人関係を築き上げることができたら人と向き合うことのできない若者は減少すると私は思う。また、今の社会が必要としているのは自分を世の中から隠そうとしている人ではなく、自分の意見をきちんと主張し自分の言動に責任を持てる人なのである。だから日本の国は人と向き合わない若者がいるという問題を改善していくべきである。
講評 hota
少し遅れましたが、2週の感想文が届きました。高2生になって、言葉の森の課題も新しくなりました。今学期のタクミコさんの課題は、
●複数の原因一、二●「体験実例」●ユーモア表現/たとえ●「社会問題の主題」/「反対意見への理解」
の4つの項目が入るように書いていきます。全体の構成は、
第1段落・要約、「社会問題の主題」
第2段落・原因一と「体験実例」
第3段落・原因二と、できれば「社会実例」
第4段落・「反対意見への理解」「自作名言」「社会問題の主題」
という流れです。今回、初回でしたがこれらがほぼ完璧にできていましたね。エライ。「社会問題の主題」が入ってきて、これまで以上に社会的な視野が求められるようになってきました。日頃から、新聞やニュースにも気を配っておくといいね。
★本当に、私達の子供のころと比べ、今の子供達を取り巻く環境は厳しいものになってきました。こういう中で、タクミコさんも言うように、いたずらに人間不信を抱くことなくうまく育っていくのは難しくなってきましたね。今の子供達が大人になる時、世の中はどうなっているでしょう。よくなっているといいですね。タクミコさんたちも、頑張ってね。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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