国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   「ラレル」の使い分け、TPOで。   千代紙

 ラレルは、四つの仕事を同時に受け持つ、じつによく働く勤勉な助動詞である。助動詞ラレルの四つの仕事とは、「受け身」「尊敬」「自発」「可能」の四つである。ら抜き言葉は、四つ目の「可能」において頻繁に現れる。先にも述べたように助動詞ラレルがすこぶる付きの働き者で、右の四つの仕事を一手に引き受けている。これを逆に、使う側のわたしたちから見ると、ラレルは使い分けが複雑で面倒くさい助動詞だということになる。だったらラレルの負担を少し軽くしてやったらどんなものか。ラレルの使い分けは七面倒すぎるから少し整理して簡便にしようというわけだ。同時に、日本語にはもう一つ、複雑で面倒なもの、敬語である。しかもそれはただ複雑でめんどうなものであるだけではなく、使い方を誤ると、人間関係が壊れてしまうなど、それはもう大変なことになる。そこで正規のラレルに敬語(尊敬)の表現を任せることにした。その一方で、とりわけ可能の表現をラレルから独立させ、つまりラ抜きのレルにして、表現することにした。さらに付け加えるなら、ラレルよりレルの方が発音しやすく簡潔でもあるので、よく使う可能表現をレルにしてしまったということもあるかもしれない。ら抜き言葉は、永く批判の的になりながらも、しかし次第に多く使われるようになってきたのだ。しかし、言語というものはその本質においてうんと保守的なものである。そこで、そう簡単には言語多数決の原理だの言語経済化の原理だのを受け入れられない。
 確かに、ら抜き言葉のように、新しいことを受け入れていくことは大切である。例えば、「これは食べられる。」とか、「テレビを見られる」とか、毎回毎回「られる」を使っていると、初めはよくても、だんだんと舌がもつれてくる。また、人間というのは、怠けると、下に落ちていくばっかりの動物だから、無意識のうちに、「ら」を抜いてしまっているかもしれない。そのほうが、いいやすいのも確かである。こうやって変化していくのは当然のことなのである。また、変化したことでよくなったこともある。例えば、「裏日本」と「表日本」。日本海側が裏日本で、太平洋側が表日本というのは、いかにも、差別的だというので、使われなくなった。また、昔は、目の不自由な人のことを、「めくら」などといったりしたそうだ。しかし、それもまた差別的だというので、使われなくなった。ただ、限度を超えてしまうのはよくない。例えば、はげている人を、「髪の毛の不足している人」などというと、逆に皮肉にとられてしまうだろう……。
 しかし、古くて正しいものにも良さがある。例えば、能や、人形浄瑠璃、歌舞伎などは、今でも楽しまれている。なぜ、今まで続いてきたのか、それは、この長い期間、庶民などに愛され続け、また、今も愛されているからである。また、昔からある工芸品なども同じである。しかし、それらは、今、後継者不足などにより急速に失われようとしている。が、この偉大な文化たちは多数決でどうなろうとも受け継がれるべきものだ。その国、地方の風土に根ざして生まれ、そして育ってきた文化はいつの時代でも美しく役に立つものばかりだ。また、ほかにも、手紙というものがある。今でこそ、パソコンで打ち出したものが多いが、たいていは手書きである。手書きというのは何かと大変である。とくに、ペンなんかで書いているときなんか、一文字でも失敗してしまうと、最悪の場合、最初から書き直さなくてはならなくなる。その点では、パソコンは、恐ろしく楽である。だって、バックスペースキーを文字の分だけ押せば済むのだから。しかし、手書きには、書いた人の気持ちが入っている。温かみがある。手書き風のフォントなども出てきているが、やはり、気持ちを感じ取ることは無理だ。こんなにも、パソコンが普及してきた今の時代、手書きの手紙が、あるというのは、こういうところに関係があるのではないか。
 確かに、古いもの、新しいもの、共によいところがたくさんある。しかし、「できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが、真に規則を生かす道である。」というように、ら抜き言葉は、TPOで使い分ける事が大切だと思う。

   講評   takeko


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