創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   どちらを優先するべきか   青藍

最近、私が所属する東中卓球部では、団体戦のメンバーを決める際に「先輩優先」か「実力優先」にするべきか、という問題で揺れ動いている。
 中学生の団体戦では、原則として1チーム6人で出場する。一試合目、二試合目はシングルスの試合を行い、三試合目はダブルス。四、五試合目は再びシングルスである。全部で五試合ある中、先に三勝したチームが勝利となる。最初の三試合で一気に決着がつくこともあれば、二勝二敗にもつれこんで五人目に勝利が託される場合もある。
 東中には三年生が5人、二年生が9人、一年生はいない。基本的に団体戦は三年生中心で、空いている枠には二年生の中から実力優先で一人が入る。少し前までは私もそこに入ったことはあるが、怪我や風邪が続き、今はほとんど応援である。
 今まではどんなことがあっても先輩を優先させ、二年生は交代で出場していた。しかし最近になって東中は力をつけ、強いチームとの練習試合に呼ばれたり、小さな大会ではあるが、ベスト8に入ることもあった。こうなるとやはり上を目指したくなる。勝つためには実力順にレギュラーを決めていけばよい。するとどうしてもベンチ入りできない三年生が出てくる。なぜなら、二年生のほとんどは小学校時代にクラブチームに所属していたため、三年生と互角の勝負が出来るほどの力がある。
三年生にとっては、中学校三年間の中で最も活躍できる時期であり、引退前に何とか勝ちたいはずだ。そのことは私たちにも、顧問の先生にもわかっている。「思い出」か「勝利」か。
辛い決断で合ったと思うが、先生は「勝利」を選んだ。連休中の大会のことである。会場が遠く、観戦には行けなかったのだが、試合に出た友達から状況を聞いた。
 その日は三年生のうち一人を応援席に残し、空いた二つの枠に二年生を入れた。その結果、一日目の予選リーグを通過、二日目は関東レベルの決勝トーナメントでベスト8に入った。
『一度も出してもらえない。しかも自分だけ…』。先輩はどんなに悔しく、悲しいのだろう。あまり試合に出してもらえなくなってしまった私には、それがどれだけ辛いことか想像できる。
 「先輩優先」か「実力優先」かという問題は、いま簡単に意見できるものではない。『人間は、求めているかぎり迷うものだ。』という名言があるように、残された一年間で「中学の部活動」をもっともっと味わい、悩み、迷って、また来年にこの問題について考え直したいと思う。

   講評   hamura

 体験実例に基づいた力強い作文です。最初の一文でテーマを明確にしたのが効果的でした。身近な話題から始めて徐々に話に一般性を持たせ、最後に大きくまとめる、という書き方もありますが、このくらいの長さの文章の場合、青藍さんほど書けるレベルなら、最初に話題を提示して、それぞれ論じていくというこの方法は、端正でいいですね。団体戦の説明の部分も、分りやすく書けました。何も知らない相手に文で教えるというていねいな作業が要求されるところです。説明のあとの心情の描写に至って作文がぐっと奥深くなります。先輩の気持ちを慮ったり、『 』で具体的に描き出したりすることがうまくいっています。最後の段落で、名言を引用しながらもう一度最初のキーワードにもどったのもよいです。頭がいい人の文章だなぁ、という印象を受けます。せっかく力強く書けたのですから、「また来年にこの問題について・・」とぼかさずに、「悩み、迷って取り組んでいくつもりだ」というくらい、強気にしめてもいいでしょう。

 読書欄の本、私は辛すぎて最後まで読めませんでした・・

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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