国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   身体と精神と   こめ

 能の動きは、人間が自然の体を拒否しており、昔ながらの日本人の、身体の生理というものは穢れたものという考えを表している。これは西欧の身体と精神の二元論とは正反対の考えである。最近、日本は身体と精神を区別する社会に変わりつつあり、それらが同じ次元に存在するという感覚は薄くなりつつあるが、これが中途半端に進んだ社会は問題である。
 まず考えられる原因は、明治維新以降の急速な西洋化がある。明治になってから、日本は西欧に追いつけ追い越せと考えて今までの文化を西洋化させるという方式をとってきた。前にも述べた通り、西欧の考えは身体と精神は別の次元にあるというものであり、日本のものとは全く異なっている。最近の日本の住宅を見ると、どこにも塀があり、外部と内部の区別がはっきりとしている。しかし、昔の日本の住宅は、外部と内部の区別は曖昧であった。その区別は精神的にあるものであって、身体と結びついているからこそ認識できるものなのである。それがなくなってきていることは、やはり日本は西洋化してきているという考えを導くのだ。
 また、効率を重視し、何事もゆっくりと時間をかけなくなったことも原因である。昔の日本人は、例えば一人前の職人になるためにも十数年もの時間をかけていた。それは、身体的にも精神的にもその職業に慣れたと言えるようになるまでには長い時間がかかるという考え方である。しかし、今は資格さえ取ってしまえば特定の職業に就けるので、従来の長い時間をかけて鍛錬を重ねるような職業は回避されるようになってしまった。現に、日本の伝統工業は、殆どが跡継ぎが居ないという状態に陥っている。資格さえ取ればということは、精神的にその職業に慣れていようがいまいが特定職につけてしまうということは、極端に言えば試験の時だけ頑張れば、実際は何もできない人でさえその職に就けてしまうのだ。
 確かに、身体と精神は分離されたものであると考える人もいる。しかし、それが中途半端になっていると、社会は良くなるのではなく、衰退に繋がるのだ。私の聞いた話によると、最近の日本の若者は報告書でさえ書けなくなっているという。もっと酷い話を言うと、上司にも敬語を使わないなど、言語的に考えても良くない若者も多く居るのだ。従来の考えを改めるということは、完全にはできない。身体と精神を区別する社会が中途半端に進むのは問題である。

   講評   kira

 こめくん、こんにちは。構成も内容もしっくり落ち着いた仕上がりです。西欧と東洋、近代とそれに代わるものといった構図がしっかり頭に入っていますね。
 近代は、科学を武器(ちょっと表現が危険かな?)として豊かさと便利さをもたらしました。しかし、今ではなんでも分析し解決できるとする考え方に疑問が起こっています。人間はもっと曖昧なものだからかもしれませんね。また、便利さと豊かさに慣れた私たち人間が、本来持っていたからだの力を失うようになってきた反省もあるようです。
 日本の「西欧に追い付け追い越せ」の発展は、中途半端な近代化をたどったと言います。形は近代化したが、心は未発達で、いわゆる個人が育たなかったのですね。上辺だけの近代化によって、奇妙な日本建築や生活習慣ができました。物真似の域を出ないのは問題ですね。
 「効率を重視し、何事もゆっくりと時間をかけなくなったことも原因」は、鋭いなあ。いい指摘。数字で物事を考えれば、やはり効率重視になる。ゆっくり身に付けるものを軽視する。伝統芸能(能のような)、伝統工芸の後継者が育たないことも、日本の子ども達の学力が低下した事も同じ原因だね。形(資格)だけ取っていても、内容(仕事)が出来ない人が多い。医者だが、患者の痛みを取れないといった本末転倒が起きることになる。
 「身体と精神を区別する社会が中途半端に進むのは問題である。 」という反省から、日本らしい全体の調和を見ていく考え方が注目されています。文武両道で、心も体も成熟するような成長をしたいものですね。

 進級テストは合格です。おめでとう!

 

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