低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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リサイクルと循環型社会の関係 おかし
廃棄物の発生抑制としてリサイクルが盛んに行われている。最近では、大量にリサイクルが行われるため、地方自治体が最終処分場の新規建設を中止するといった例も見られる。また、回収されたペットボトルが資源不足の中国に輸出され、日本国内のリサイクル工場が稼働停止に追い込まれるといったケースも出てきている。循環型社会にするためにはリサイクルの促進が必要だと、多くの人が認識している。しかし、リサイクルはあくまで環境を守るための一つの手段に過ぎない。そのことを考慮に入れ、リサイクルについて考えてみる。
まず、リサイクルの短所は莫大なコストがかかるところだ。リサイクルするためには素材による分別が必要である。現在、家庭ゴミは各市町村に回収されており、分別回収になると、回収日、回収車、人員などの増加により、地方自治体の財政は圧迫される。名古屋市ではごみ減量化政策により平成10年から2年間でゴミ量20%、埋め立て処分量50%の削減を達成した。しかし、資源回収経費は20億円から90億円へと4.5倍になったのである。
次に、リサイクルの長所は意識啓発になるところだ。三重県伊勢市は「分ければ資源、まぜればゴミ」のキャッチフレーズで市民の分別意識を向上することに成功した。また、店頭に取り付けられている資源回収ボックスに入れられるペットボトル、トレイなどの量も増加した。これは多くの消費者にリサイクルが環境に配慮した行動であると普及してきたからではないだろうか。
私たちは、何のためにリサイクルをするのかという原点に戻る必要がある。大量にエネルギーを消費するリサイクルならば、逆に環境に負荷をかけることになる。循環型社会を考えると、リサイクルというのは川下の処置であるように考えられる。リサイクルが促進されても大量生産・大量消費・大量廃棄が、大量生産・大量消費・大量リサイクルに変わるだけであって、大量エネルギー消費社会のままである。一番必要なことは、包装容器の軽量化や製品の耐用年数を伸ばすことといったような川上の対策ではないだろうか。このような川上の対策がとられるような社会にしていくことが大切である。リサイクルとは、一番に行うべきものではなく、エネルギー消費量の比較などを通し、よしとされた場合にのみ、環境を守るための一つの手段として行うべきものである。
講評 nane
いい内容でまとめたね。
第二段落の「リサイクルの短所は莫大なコストがかかること」は、表現上の工夫が必要。コストのかからないリサイクルもあるし、コストよりも節約される額の方が多きければ問題ないわけだから。名古屋市のゴミ減量化政策は、ほかの要素がからんでいるか、やり方が悪かっただけかも。(笑)
第三段落の意識啓発も、単に意識の問題だけでなく、意識が変わるとほかのことも変わってくるという経済の話として書いていくといい。消費者がリサイクルを意識するようになると、必然的に物を買うときもリサイクルのしやすさの視点で買うことになる。するとそれがめぐりめぐって、生産の質を変えるようになる。分別しやすい包装のものを買うとか、過剰な包装は避けるようになるとか。
結びは総合化でうまくまとめた。リサイクルという言葉がひとり歩きしがちだけど、大事なことは、何のためのリサイクルかということだからね。「リサイクルとは、一番に行うべきものではなく、エネルギー消費量の比較などを通し、よしとされた場合にのみ、環境を守るための一つの手段として行うべきものである。」は、内容はいいけど、表現をもうちょっと工夫しよう。
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