創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   得意分野と苦手分野   シュシュ

 私は理数系の科目が苦手だ。苦手なだけでなく、嫌いでもある。今は学校の授業が理系と文系で分かれているため、化学や生物がなくなって楽になったが、高校1年のときは苦手な科目も勉強しなければならなくて、本当に大変だった。私の理系アレルギーは相当なもので、先生の話を聞いていると、自動的に眠くなってくるほどだった。しかし、英語や世界史は得意だ。古文も得意ではないけれど、勉強するのは嫌いではない。このように、多くの人には苦手な分野と得意な分野がある。勉強だけでなく、人前で話すことが得意な人もいれば、苦手な人もいるし、走るのが速い人もいれば、遅い人もいる。日本では、得意な分野を伸ばすことより、誰でも必ず持っている何らかの苦手なこと、弱点を克服させるように促す傾向があるが、これは社会にとって問題である。
 考えられる第一の原因は、日本人は、それぞれが自分だけでものごとを成し遂げようとする気持ちが強いという、心理的な点にある。五年ほど前になるが、手相占いをしてもらったことがある。もうだいぶ昔のことなので詳しくは覚えていないのだが、唯一はっきり覚えているのが、将来何になりそうかと聞いたら、何か起業すると言われたことだ。最近はホリエモンなどの話題で、起業家がちょっとしたブームとなっている。しかし、当時はあまりポピュラーな言葉ではなかった上に、そのときの私はアナウンサーになりたいと思っていたので、あまり喜べない結果だった。だがその数年後に、起業するのもお金が儲かりそうだし悪くないかなとふと思ったことがある。しかし、そう思ってからすぐに、数学が苦手で、お金の計算なんてできそうもないからやっぱり無理だなぁとその考えを打ち消した。しかし、今よく考えてみると、お金のことは他の専門化や経済の得意な人にまかせればいいのだから、起業することだって全く無理なことではないはずだ。全てを自分1人でやろうとせず、もっと回りに支えてもらえるという余裕を持つことが、弱点を持つことを今よりも受け入れるという社会全体の意識へ繋がると思う。
 第二の原因は、今までの日本社会が、島国のために周囲から閉ざされた環境で発展してきたという歴史的な点にある。オーストラリアに生息するコアラは、ユーカリしか食べることができないし、動きも遅くあまり強い動物ではない。進化の過程で、他の大陸に比べて天敵が少なかったために、何か特異なところを伸ばして進化する必要性がなかったから、現在のようなかたちになったのだろう。人間も、同じような者ばかりがかたまって暮らしていたら、コアラのように得意な部分を伸ばして強く成長することができなくなってしまうのだと思う。
 確かに、弱点をなくす過程で、忍耐力などを人はつけることができる。しかし、得意なところに目を向けず、苦手な分野を克服することばかりを奨励する今の社会は問題である。マンガ「NANA」の主人公ナナたちのバンドは、自分たちのスタイルを貫き、あまり流行ではないパンクバンドとしてデビューした。ダサいと言う人もいたが、ボンテージもはいていた。自分の得意なことを貫きとおして、ナナたちは音楽業界で成功したのだ。私もナナのように、自分の得意な部分だけで世の中を渡っていけるくらいになりたい。弱点とは、無くそうと努力するものではなく、得意なことの輝きの中で、自然に薄れてゆくものなのだ。

   講評   nane


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