創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   手助けをする   紫式部

 「手助け」はよいことか? この前、私は手助けをした。つもりだった。プラットホームから勢いよくでた電車の中。会社帰りのサラリーマンや中高生がひとつの空間にぎゅうぎゅうつめになっている。私は席に座っていた。前には80歳くらいのおばあちゃんが重そうな荷物を持って立っている。私は当然のように席をゆずろうと思った。かっこつけているわけではなく元からそういうことが恥ずかしがらずに出来た子だったと思う。この時もそうだった。「どうぞ、座ってください。」・・・「いいです。」あっさりと切り捨てられた私の言葉。こんなことを言われたのは初めてだった。なぜ私がこんなことを言われなくてはならない? イイコトをしたはずの私が? とたんに怒りに似たものが沸く。とともに恥ずかしさがこみ上げる。そのままだまって降りる駅まで座っていた私、カッコワルイ。
 このことがあってから私の「手助け」と言うものへの考えは少し変わった。いいところと悪いところが見えてきたとでも言おうか。いいところはやはり「手助けをしてもらったほうがうれしくなる」というところだろう。本当に何か困っていて人に「手伝おうか?」と助けられたときは素直にうれしいものだ。私にも何度もそういうことがある。私は文化祭の準備で装飾担当だった。ステージの後ろに張る大きな絵は塗るのだけでも6日はかかる。その上、まだ食券のイラストデザインやステージの練習があった。そんな時、友達のAちゃんが「絵色塗るの手伝うよ!!」と声をかけてくれ6日かかるところが3日で済んだのだ。すごくありがたくて人に助けてもらうのっていいなと思った。
 一方、手助けが悪く出てしまうこともある。ボタンをかけられないでいる子供。親はじれったさからつい手を貸してしまう。しかし、これは子供の自立心の妨げになる。また、こんな経験がある。私は学校の委員会で会計の仕事をしていた。私はこの仕事が好きで張り切ってやっていた。それなのに先輩の委員の人が「私がやっとくよ〜。」と言ったのだ。ムカッときた。「できます!!」私はきっぱりと断って残りを全部やった。先輩には悪いが、誰だって出来ることを人に「やろうか?」と言われるのはしゃくに触る。向こうはいいことをしているつもりだろうがこっちにとってはただプライドを傷つけられたということでしかないのだ。今思えば、あの電車の中でおばあちゃんにしたことはこれだったのかも。彼女は毎日ジムに通って自分を鍛え、「そこいらの若者なんかには負けね〜。」と思っているパワフルな人かもしれない。悪いことをしたな。 
 手助けとは難しい。自分が思っていた以上に奥が深いことだった。確かに「手助け」には良い面も悪い面もある。しかし、一番大切なことはなんだろう? それは心だと思う。「家とは外から見るものではなく、中で住むためのものである」と言うことわざがあるように、手助けをするにしても、しないにしてものでも見せかけ、自己満足ではなく、相手の気持ちを汲み取る想像力が大事だと思う。

   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。身近な話題から始めたからかな? 今回の文章は紫さんの息づかいがあふれていて素適です。自分の言葉になっていますね。じつにうまい。
 さて、夏休みに入ると、ボランティアに取り組む若者が多いそうです。小さなボランティアのことを「チョボラ」って言うんだそうですね。照れないで自分の手をさしのべることは、勇気が必要なようです。
 手助けは、たしかに自然の心理です。助けることで、やさしい気持ちになれるし、助けられることで感謝の気持ちを味わえます。どちらも大切な心です。それを味わえるのは最高の幸せだよね。
 たいへんよい手助けも、行き過ぎたり、タイミングを間違えると、ありがた迷惑になることもあります。それは、相手の自立心や自尊心を傷つけるような場合ですね。過保護のあまり子の成長をさまたげているケースは多そうです。寿命が延びて高齢化する社会では「お年よりはいたわって」も通り一遍にはいかないようです。
 「自己満足ではなく、相手の気持ちを汲み取る想像力が大事だと思う。」と総合化しました。この力があれば、他のどんな課題も解決していけますね。
 

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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