創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   母の小さい頃   えとわ

 ガタガタ。ジャリジャリ。幼い頃の母の乳母車を押す姿があった。乳母車に乗せられているのは、母の5つ違いの弟だ。祖母は、理容師だったので、母に子守りをさせていた。祖母は、母が子守りをしてくれたから、仕事を続けることができたと母に感謝している。道路は、舗装されていないので、砂利道だった。自動車もあまり通っていなかった。その当時、女の人が車の免許を持っている人は、ほとんどいなかったという。祖母は、車の免許をその頃から持っていた。祖母は70歳になるが、6年前に祖父を亡くした。祖母は一人暮らしだが、現役で店を営んでいる。車も乗りこなす。話すこともしっかりしている。まるで、細木数子さんのようだ。そんな祖母に育てられた母も、仕事に一生懸命である。私より仕事の方が大事なのかなと思うときもあるけれど、母の仕事は責任のある仕事なので、私なりに理解しているつもり。母に、小さい頃の話をもっと聞くことにした。
 弟が大きくなると、母は、仕事をしている祖母の手伝いをすることが多くなった。お使いに行ったり、お米をといだりと。お手伝いの中でも、大変だったことは、お風呂を沸かすことだった。五右衛門風呂だったので、まきを割って、風呂場まで運んで、火をつけて、空気をいれながら上手に燃やすのだ。それが、ガスに変わったときは、うれしかったにちがいない。
 次に、大変だったのは、洗濯だそうだ。自分たちの下着や洋服だけでなく、店からでるタオルも洗濯しなければならなかった。洗いは洗濯機がやってくれたが、脱水はハンドルをまわして、ローラーの中を通して絞っていた。おもしろそうなので、やってみたいと思った。でも、それが毎日となると、手間のかかる仕事だと思った。
 このほかにも、生活の中で便利になったものがある。それは、トイレである。ぼっとんトイレ(この言い方でいいのかわからないが)で、水洗トイレではなかった。私の学校の校庭のトイレがぼっとんトイレだ。虫がとんでいたりくさかったりする。母も、いやだったにちがいない。学校のトイレは和式、家のトイレは洋式。私の家は、去年、トイレが壊れて、新しくなった。今までのものと違うところは、お尻が洗浄できるところだ。前にテレビで、洗浄トイレは、日本人が発明したと言っていた事を思い出した。
 ほかに、テレビである。母は、早くから白黒テレビを見ていたそうだ。それは、お店にあったからだ。それからまもなくカラーテレビになった。もうすぐデジタル放送になるという。携帯電話やパソコン,クーラーなど便利なものが発明されて、今の私達は快適だ。いや、未来は、もっと快適になるのだろう。まるで、ドラえもんの世界のようだ。いつか、ドラえもんの世界が本当になってくるのではと思った。
母が、
「世界の科学は、日進月歩で発展している。100年後はどうなっているのだろう。見てみたいな。」
と生きていられない自分を思いながらさびしそうに言った。私は、「地球がなくなっていないといいな。」と思った。石油があと40年しかもたないことを知っている。温暖化問題も起きている。オゾン層破壊、環境破壊、ウイルスによる感染など、いろいろな問題を抱えているような気がする。宮沢賢治さんが生きていたら、どう思うだろう。都会を非難し、岩手の自然を大事にしていた人だから、がっかりするだろうな。私が生まれた今と母が生まれた昔では、こんなに違っている。母の小さい頃の話を聞いて、便利になった分、何かが失われていないかなと考えさせられた。

   講評   sugi

 お母さんの子どもの頃といえば、それほど大昔ではないけれど、その「少し昔」と今とを比べても、たくさんの違いが見つかったのだね。洗濯機、お風呂、テレビ……。家事一つとっても、昔は手間のかかるたいへんな仕事が多かったことがわかったね。えとわさんのお母さんは、おばあちゃんのお手伝いをよくしていたので、その頃のことを人一倍よく覚えているのだろうなあ。
 「昔と今とではこのような違いがある。」という話だけでも充分おもしろい作文になるけれど、それだけで終わらないところは、さすがえとわさんだ。ドラえもんは、未来の発明品をたくさん持って来てくれるけれど、それがだんだん現実になっていくのではないかという想像は楽しいね。昭和30年代から、未来を扱ったSFとして放送されていた『鉄腕アトム』の主人公の誕生日は、2003年4月7日。ドラえもんの話も、「昔の人が想像した未来」になるときが、いつか来るのだろうね。
 未来と言っても、夢のような話ばかりではないね。結びの段落に書いてくれたことは、今すぐに人類が真剣に考えていかなくてはならないことばかり。未来がどうなっているのだろうとあれこれ想像するのは楽しいけれど、現代に生きる私たちが、どんな未来にするのかを決めるのだということも、きちんと自覚しておくべきだろうね。

「ぼっとんトイレ」 ぼっとんトイレは、めっきり少なくなったね。「くみ取り式トイレ」という言葉を使うけれど、えとわさんが大人になる頃には死語になっているかもしれないね。
「女の人が車の免許を持っている人は、ほとんどいなかったという」
 → 「女の人で車の免許を持っている人は、ほとんどいなかったという」
   「車の免許を持っている女の人は、ほとんどいなかったという」

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