創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   人間関係   シュシュ

 図書館の自習室で勉強していたら、めずらしく小学生の子供が三人くらいいた。誰も他にしゃべっている人はいない中で、彼らは普通の声でしゃべったり騒いだりしていた。私は内心うるさいなぁと思ったけれど、誰も何も言わないし、注意するのもなんだかいやだったので、気にしないことにした。社会の中でのお互いの結びつきが、弱くなっていると私は感じる。何か不快なことがあっても、言い出せずにぐっと我慢してその場をやり過ごしてしまう。しかし、このような人間関係のもろい現代の社会は問題である。
 考えられる第一の原因は、日本の国家が単一民族によって構成されているという社会的な背景にある。アメリカは白人や黒人、ラテンアメリカなど異なる民族の人達が暮らす国だ。そのせいで対立は多く生まれるが、対立を克服して自由、平等、博愛などの観念が生まれ、今のような自由の国アメリカとなった。しかし、日本で暮らす多くの人は日本人である。だから街で外国人を見かけると少しめずらしく感じるし、そのようなときの対応に慣れていない。日本は先進国の中で、難民の受け入れ数が少ない国だが、その原因も日本国民の多くが日本人であるという点にあると思う。難民を受け入れることで起こるであろう諸問題を恐れ、それを拒否しているのだろう。だが、そのような問題を克服すれば、難民を受け入れることで発展したり、新しい良い国づくりにつながるものがたくさんあるはずだ。例えば、今日本ではパートの働き手が少なくなり、困っている企業が多いそうだ。だが、外国人の若い人が増えたら、働き手が増えるかもしれない。少子高齢化の日本を、支え盛り上げる存在に今国を追われ困っている人々がなることはできないだろうか。
 第二の原因は、日本が高度経済成長を体験したという歴史的な背景にある。ものが豊かになり、近所同士で助けあって生きる必要がなくなった。お隣さんにお味噌を貸してもらうなんて人は、もうなかなか見ることができないだろう。ヒョウは、普通群れずに単独で行動し、獲物をしとめるのも一匹だ。子供が生まれても、比較的早く親離れをさせられる。一方、ヌーは群れで生活する動物だ。はぐれた子供のヌーなどが、よく肉食動物にしとめられるように、一匹では弱い動物だからだ。一匹でも生活できる能力のある動物は単独で暮らすが、弱い動物は群れになって生活しなければ生きることはできない。人間は、肉体的には弱い動物だが、文明によって近くの人間同士が親密に関わらなくても、生きている環境をつくったのだ。
 確かに、濃い人間関係はうっとうしくなることもある。しかし、現代のようなお互いの結びつきが弱い人ばかりでは、良い社会をつくることができない。村上春樹の「海辺のカフカ」という本がある。中田さんという少し変わったお爺さんと、星野青年という普通のトラック運転手は、相手の名前や肩書きでなく、実物そのものだけを見て信頼しあい、ほとんどあてのないような長い旅をした。目的が達成されたのも、お互いを本当に信じ、強く思っていたからだと思う。社会とは、人が人以外のもので繋がれてできるべきではなく、人と人同士のつながりで成るべきものだ。

   講評   nane

 図書館の身近な体験から、日本文化の特徴にまで広げたところが視野の広さを感じさせるね。アメリカなどは、もともとみんながほかの国から来たのだから、他人と自分が違うことを前提にして意見を言い合う文化があるのだろうね。
 高度経済成長という原因から、今回はヒョウとヌーの話を考えたんだね。このように、実例を多様にして書いていくことが大事。
 結びの意見で、小さな具体例を入れたところも変化があっていい。
 「社会とは、人が人以外のもので繋がれてできるべきではなく、人と人同士のつながりで成るべきものだ。」は意味はわかるけど、ちょっと舌を噛みそうな感じも(笑)
 今回はかなり高得点だった。読み返してみると、文章全体の雰囲気の密度が濃いことがわかるでしょ。
 引き続き読書実例をがんばってね。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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