創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日4215 今日1699 合計61474
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   トウシューズの痛さ   オーロラ

 そのとき、私は幸せに包まれた。生まれてきての一番の喜びだったと思う。その喜びとはトウシューズをもらったときのことだ。(書き出しの工夫)私はそのときうれしくて声も出ないほどだった。また、一つ年下のKちゃん達は
「いいなぁ。私も早く履きたいなぁ。」
「来年までまてないよう。ああ、早く時間が経たないかなぁ。」
と言っているので、レッスンが終わったらこっそりトウシューズを履かせてあげた。何しろ、生まれて初めてのトウシューズだから自然と笑いが込み上げてくる。家でも何回も履いた。そして寝るときも私の隣において寝た。(もっとも、朝になったらトウシューズは足の下にあったが……。)
 けれど、そんな時期もつかのま、初めのトウシューズが小さくなったから幅も、長さも少し大きいトウシューズを履いた。そうしたら先生に
「そのトウシューズ足に合ってないよ。違うのに変えなさい。」
と言われたのだ。私は、次のレッスンのときにまたトウシューズを変えた。それは最初に先生にもらったトウシューズの、ワンサイズ上のものだった。そうしたら先生が私に
「その方がずっとよく立ててるよ。」
と言ってくれた。私は、そう言われたのはうれしかったが、実は、そのトウシューズは、まるで足に釘が突き刺さるみたいに、特に小指が痛かった。それでなぜ立てているかというと、上体を精一杯引き上げて、甲が出たちゃんとした立ち方なら、そんなに痛みを感じないのだ。でも、中途半端な状態で立つと、顔が引きつるぐらい痛いのだ。
 それでも、レッスンでトウシューズを履いている時間が短い間は、なんとかもっていた。だが、発表会の練習をするようになり、トウシューズを履いている時間が長くなり、普段の教室より広く、床の固いホールで練習するようになると、もう限界だった。まだサイズが小さくなったわけでもなく、シューズが潰れてしまったわけでもないのに、値段の高いトウシューズを買い換えるのはもったいなかったけれど、もっと足に合うトウシューズを求めて、母といくつかのお店を回った。そして、今履いているトウシューズに出会った。まだ、これが本当に一番合うトウシューズかどうかは分からないけれど、今まで履いた中では、最も履きやすく、足にピッタリしている。立ち方や踊り方も、多少は変化した。今ではトウシューズでも綺麗に立てていると思う。多分今、トウシューズで楽に立てるようになったのは、この痛かった思い出があるからだと思う。痛いのはつらいから、痛くないように工夫したり、自分なりに努力したからだ。
 痛みとは、それ自体は辛くて嫌なものだけれど、その痛みを感じる状況では危険だとか、そのままでは良くないよ、ということを教えてくれるものだと思う。(分かったこと)

   講評   nara

 バレエを始めた小さい子にとって、「トウシューズをはける」というのは、レベルアップを実感できる大きな出来事なのだね。書き出しの段落にあるように、始めたばかりの子にとっては、トウシューズをはけることになったオーロラちゃんは、あこがれの先輩だと思うよ。オーロラちゃんにもそういう先輩がいただろうね。「生まれてきてから一番の喜び」と思えたからこそ、痛さも乗り越えられたのではないかなぁ。
 「弘法筆を選ばず」ということわざがあるけれど、どうやら反対らしい。弘法大師(空海)は書く字数や大きさ・紙などによって筆を変えていたという記録があるよ。どれが最適の道具なのかを考えていたということだね。よりよい道具をよりよく使う、それは、自分の力不足を道具のせいにしないための、厳しい選択だと考えることもできるね。ピッタリのトウシューズにめぐりあえたのだから、今まで以上の踊りができるようにがんばろう、という気持ちも新たに生まれてきたのではないかな?
 痛みとは……というまとめはよく考えられた。今の世の中、痛みを感じる前にガードしてしまうことが多い。痛いのがいやだというのも理解できるけれど、痛さがあるからこそわかることも必ずある。これは体の痛みだけでなく、心の痛みにもあてはまりそう。痛さはメッセージであると考えると、そのメッセージを受け取る力と、理解する力をつけることが、成長でもあると言えそうだね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)