低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
母の助け舟 うさちゃん
「ねえ!お姉ちゃん!幼稚園でこんな絵本もらったよ。ねえ!」
「何々?」
「挨拶がきらいな王様だって。」
「ふ〜ん」
その本は挨拶がめんどうになった王様が
あいさつを禁止にした。すると町が暗いふんいきになってしまい、お店も閉店になってしまった。と言う話だ。
私は最近、友達となんとなく気まずくなっている。気まずくなったきっかけは私には分からないが、私が
「おっはよう!」
と気持ちよく挨拶をしても、その子だけ、
「フンッ」
と言う。私は少し心配になってきた。家に帰って母に、
「お母さん。最近友達と気まずいんだけど。」と相談した。
「そう。とりあえず、挨拶することよ。そのうち相手も、悪かったなあと思うようになって仲直りできるから。」
「そんなものかなあ。」
私は半信半疑だった。
翌日、私は友達に、母に言われたとおり、
「おはよう。」
と言った。やっぱり「フンッ」と言われた。次の日も、その次の日も、そのまた次の日も私は繰り返した。やっぱり「フンッ」言われ続けたが、そのうち「フンッ」とは言わなくなった。
そして一週間後、私が
「おはよう。」
と言うと、
「おはよう。」
とちょっと照れたような声が返ってきた。私はほっとしてもう一度大きな声で
「おっはよ〜う」
といった。友達は、
「元気だね。ちょっと声大きいかも。」
といって久しぶりの笑顔を見せた。私はうれしくてたまらなかった。
私の気持ちは、まるで曇っていた空が雲ひとつ無い青空になったようだった。
私は、その日、母にその事を話した。母はとても喜んでくれた。私は、母の言うとおりにしてよかったと思った。
この間、二つ下の三年生の子に、
「今まで仲良しだった子と、気まずくなっているんだけど、どうすればいいかな?」
と相談がきた。私は得意になって、この前のことを話した。すると三日後、
「ありがとう。」
とお礼がきた。母の助け舟はここでも大活躍したようだ。
挨拶がめんどうになった王様も、挨拶をしたとき、無視した子と同じ気持ちだったのかもしれない。と改めて思った。
講評 tama
妹さんが幼稚園でもらった絵本をきっかけに、これほどの作文が書けるとは素晴らしい! この作文には「挨拶の大切さ」という主題に加え、「お母さんの愛情」が感じられます。書き出しの会話文、お母さんの温かい言葉からは、うさちゃんの日常が伝わってきますね。
≪題材≫ お友達とのトラブルという身近な体験を通して、挨拶とは何かを改めて考える機会になったと思います。お母さんの的確なアドバイスと、無視されても挨拶を続けたうさちゃんの誠意が、お友達の心の扉を開いたのですね。いいお話です。仲直りできてよかったですね。(^_-)-☆
≪表現≫ 「雲ひとつない青空になったよう」と、晴れ晴れとした気持ちを表現してくれました。うれしい気持ちがひしひしと伝わってきます。
≪主題≫ 相談する側から、される側になり、経験を生かしてアドバイスすることができたのですね。ここでは人の役に立つこともできました。これらの出来事からも、挨拶は大切だということがわかりますね。(^_^)
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