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　　　一番って　　　グルミン

　「えっ！？もしかして・・・！？」
自然と顔が笑ってしまった。負けてしまった相手に、悪いと思った。しかし、運動会の、五十メートル走で一番になったら、だれだって、うれしいだろう。一番の旗の所へ行く時、友達のくやしそうな顔が見えた。私は友達から目をそらした。少しはずかしかった。
　運動会の日。私は今年の運動会で、何か一つでも良いから、自分で一番になりたいと考えていた。もともと、五十メートル走には自信があった。しかし、速い人に当たったら、困るなと思っていた。この学校では、くじで走る相手を決めるため、運もよくなくてはならない。けれど、結局自分とあまり変わらない人と当たった。その代わり、友達は、足が速い人と当たることになり、泣いてしまっていた。しばらく同情したり、準備運動をしたりしているうちに、自分の番になった。
「よーい・・・ドン！」
の声と一緒に、みんな走り出した。私も全力で走った。もう、「前に進め、進め！！」ということしか考えなかった。ゴールして初めて、自分が一番になったことに気付き、うれしくてたまらなかった。まるで、風に体当たりするかのようにしてまで走って良かった。
　その後の陸上記録会では、速さで相手が決まったが、私は一番速いグループだった。しかし、それでも、一番になれた。
　速いということで一番なのは、足だけでない。運動ではないのだが、私はいつも、作文でも、白板の書き写しでも、ほとんど一番に書き終わる。別に、字もものすごく雑というわけではない。ただ、本当に書くことでは、すぐに終わる。その上、考えつくのもすぐなので、授業では待つことが多いくらいだ。この前は、辞書で調べたことを書く時に、書きながら調べていたら、みんなが書き始めるころには終わっていた。先生からは、
「ええっ！？もう書き終わったの！？」
とおどろかれた。そして、ほめられとても気持ちが良かった。そして、「こんなことでも一番になると、気持ち良いなあ」と、思った。
　私は、今回書いてみて、
「一番って、やっぱり、すごい・・・！！」
と、改めて感じた。こんなことでもうれしいのかと、不思議になるくらいだ。しかし、これからも、一番目指してがんばっていきたい。それに、一番になっても追い抜かされないようにも、しなければならない。

　　　講評　　　hoemi

　グルミンさん、こんにちは。一番になることのうれしさをしっかり表現できたね。字数、項目ともしっかりできていましたよ。進級試験は合格です、おめでとう！　１０月からは新しい級で、さらに作文力をつけるべくがんばっていこうね。
【書き出しの工夫】　一番になった瞬間のグルミンさんの嬉しいような、友達に悪いような複雑な心境からの書き出し、よく工夫できているよ。
【体験実例】　徒競走でゴールテープを切ってみたいというのは、誰もが一度は思うことだよね。走っている間は無我夢中で他の雑事など何も入ってこないほどの集中力だったんだね。見事、ゴールテープを切れた時の喜びをうまく表現できているよ。また、グルミンさんは何にしても一番になることが多いようだね。これは要領の良さに加えて、やはり豊かな発想力や機転が利くといったグルミンさんの誇るべき長所のお陰なのだろうね。この長所をこれからも活かしていければいいね。
【たとえ】　徒競走でがむしゃらに走る様子をうまくたとえることができたね。グルミンさんの走る姿が思い浮かぶよ。
【わかったこと】　努力して頑張った結果の一位というのは素直に嬉しく感じるものだし、自分の中の大きな自信につながっていくよね。一位であり続けることは不断の努力も必要で、一位になることよりも難しいかもしれないけれど、グルミンさんには「一番になっても追い抜かされないようにしたい」という気持ちを大切に持ち続けてほしいな。うまくまとめることができました。