創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日常に必要な役立たずのもの   レックウザ

 「現在先進諸国の各都市では、経済活動から文化活動へいそしむべく、年とその住民に方向展開を促しつつあり、都市の各所に「何の役にも立たないもの」を出現させることで、住民に文化的衝撃を与えることが、静かに流行しはじめている。パリのエッフェル塔の近くの噴水でも、この夏人々が水浴びをしていたから、間もなく彼等も、もし文化的に向上したいのなら、「もっと役に立たないもの」を、どこかに出現させなくてはいけなくなるであろう。つまり、各都市が水不足になるたびに、我々の噴水は危機に立たされると言っていいだろう。」この長文を読んで、一番私が半分そうだと思い、半分そんなことはないのではないだろうかと思ったのは、「噴水は、ただ水を噴き上げていればいいのである。」というところだ。確かに、飾り気のない噴水は、それはそれで綺麗だ。透き通っている水を眺めると、心が落ち着く。しかし、少しぐらい、電気仕掛けの細工をしたり、照明で色をつけたりしてもよいのではないだろうか。そうしたって、人々を和ませる力があるのかもしれない。ある人は、飾り気のない噴水で十分綺麗だと考えていて、またある人は、電気仕掛けの細工をした噴水や、照明で色をつける噴水は普通の噴水よりよい、と考えているかもしれないのだ。とにかく、考えるのは人それぞれなのだから、噴水はただ水を噴き上げていればいい、というのは間違っているのではないだろうか。これが私の考えだ。
 私には、とても大事にしているものがある。それは、日本にいる友達からの手紙だ。一年と半年ぐらい前、私はアメリカに越してきた。日本の学校最後の日に、いろんな友達に私のアメリカの住所を聞かれた。
「アメリカに行っても忘れないでね。」
「手紙、たくさん書くからね。」
友達は、そういって私がアメリカに行くことを惜しんでくれた。そして、アメリカに行った後、友達は本当に手紙をどたどたとまるで山のように送ってきた。「元気?」「アメリカはどんなところ?」「そっちには慣れた?」「友達は作れた?」こんなことが、いくつも書かれていた。私は、喜びで心があふれそうだった。私を心配してくれる友達が、こんなにいるなんて、思ってもみなかったのだ。母は
「そんなに手紙があっても困るでしょ。処分したら?レターボックスも満たんなんだし。」
と言うが、私はそんなことはしたくない。友情の手紙を焼くなんて、とんでもない。そう思った私は、何がなんでも、友達からの手紙は捨てないと決心したのだ。どんなに役に立たなくたって、友達が送ってくれた手紙を捨てたら、友達との友情を捨てたのも同然なのだから。
 もう一つ、家に捨てたくはないものがある。私のドアに掛けてある、額にはめた、私の名前が書いてある刺繍だ。これは、私の家族全員でパナマに住んでいたときに、母が作ってくれたものなのだ。それには、インコや蝶々、花などが刺繍されていて、とてもカラフルである。母はそれを、覚えの悪かった幼い頃の私が、ちゃんと私の部屋だとわかるように、私の部屋に掛けてくれたのだった。そのときの私にはとてもよいものだったのだが、今の私はどこがどこかも覚えられるようになったので、もうその額はいらなくなったのだ。しかし、その額がなくなると、何だか物足りなくなる。そう、日常とは違う感じになってしまうのである。なので、その額は私にとって大事なものだということがわかる。もう七年も使われているので、埃だらけで少しぼろぼろなのだが。(笑)
 役に立たないものというのは、人間にとって、必要なものであり、また、心を落ち着かせるものなのである。もし一日中勉強や家事、仕事ばかりしていたら、もうくったくたになるだろう。だから、毎日役に立つことばかりだったら、疲れてぐったりしてしまうということだ。役に立たないものだって、日常には必要なのだ。

   講評   hoemi

 レックウザさん、こんにちは。一見役に立たないようでも、日常の中にしっかりとけ込んでいて、かつ、その存在こそが潤いや安らぎを感じるものは意外に多いよね。しっかり自分の意見をまとめることができているよ。
【要約】 “文化的衝撃”を軸にしてしっかり要約できたね。
【体験実例】 友達からの手紙もお母さんの手作りの刺繍も、レックウザさんにとっては大切な宝物なんだね。周りから見れば役に立たないように見えても、手紙や刺繍があるだけで心が和んだり、生活が豊かになったりするということがよく伝わってきたよ。自分のことを思ってくれる人たちがいることへの感謝の気持ちを上手に表現できたね。
【たとえ】 次から次へと来る、レックウザさんを思って書いてくれた友達の手紙。どんなにたくさん届いたかが「たとえ」を見て分かったよ。上手なたとえです。
【一般化の主題】 日常の中に「役に立たないもの」というのは、数多くあるよね。もしも役に立つものばかりがある世の中だとしたら、何とも無味乾燥な世の中になると思うな。だからこそ、私たちには「文化的衝撃」が必要だということだね。

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