創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日2356 今日544 合計9898
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   一隅を照らす   ノンキィ

 子供達には、トンボ採りを体験させるべきである。子供達がトンボと同格で競うことはよい情操教育になる。現在の日本には、大勢の子供がトンボ採りに興じるような環境がほとんどない。子供たちに、トンボの棲む環境のすばらしさを伝えたい。 
 幼いころ、保育園の園庭で土をほじくり、草むらを掻き分け、バッタやダンゴムシを夢中になって探した記憶がある。また、家の近くの公園へ右手に虫かご、左手に虫取り網を持って蝉を捕まえにいったこともある。今では呆れるほど虫の苦手な私にも、そんなきらきら輝く日々を過ごした年齢があった。ここ数年、テレビゲームや携帯電話の急激な普及、身近な環境の変化によって、まだ小さい子供達が屋外で走り回って遊ぶことが少なくなったようだ。高度経済成長を経て、大都市に人口が集中するにつれ、日本では年々都市化が進んでいる。感受性の豊かな幼い子供が自然そのものと対等に向き合えるような国を作るため、これから大人になる私はその一隅を照らす人間になりたい。(主題)
 子供にしか楽しめない貴重な体験は、地域に安全な公園や林があってこそ初めて実現するものである。私の両親の年少時代は、家の周りに広がる田んぼで、近所のおばさんやお兄さんに伝授されたコツを一生懸命利用して、来る日も来る日も虫捕りや缶蹴りをしていたそうだ。私が小さいときも、蝉や鈴虫を探しに行くと決まって近所の人が声をかけてくれた。しかし、高層マンションが立ち並ぶ最近の大都市近辺では、近隣の人々とのつながりが目に見えて気薄になっているように感じる。たとえ両親がどんなに多くを心得ていても、子供に教えられることには限りがある。学校の先生や近所の人々の助けを借りて、子供は太陽の下で自然と遊ぶことの楽しさを知ってゆくのだろう。人間関係が薄弱としている現状を見直し、地域全体で子供を育てる環境を作る必要がある。(複数の方法一)(体験実例)
 さらに、環境の整備だけでなく、私達の心の整理をもしなければならないと思う。家の中にはテレビやコンポ、テレビゲームに携帯電話。加えて、今ものすごい人気を集める“DS”などの次世代ゲームの数々。かくいう私も、コンポで音楽を聴きつつ漫画を読むというような、インドアの象徴であるかのような時間の使い方をついつい選んでは後悔する身である(笑。けれど、学校からの帰り道、部活の途中、ふとした瞬間に何気ない自然の美しさにはっとさせられることがある。人間関係という面でも、日々の生活の中でも、心を外向きに開放してみると、普段は特別意識しない風景が心にどんどん入り込んでくる。すばらしいことだと思う。子供達が自然の美しさを実感し、より豊富な体験をしようとするとき、心を常に外側へと大きく開いておくことが大切である。そして、それはきっとたやすいことだ。もともと子供の心は外界へと好奇の対象を求めているものなのだから(ユーモア)(構成)
 とはいうものの、太陽がぎらぎら照りつける真夏や北風の餌食になりそうな真冬、せっかく快適な空間があるにも関わらずわざわざ外へ足を運びたくは無いものである。しかし、音楽は歯痛を治してはくれないという。何かを得ようと思ったとき、家の中でじっと座っているだけでは物事は一向に進行しない。子供達が安心して自然を感じられる空間作りは、老若男女問わず全ての日本人が自分の足で一歩を踏み出せば、必ず整えられる。そう願って、さあ、私も歩き出そう。(主題)(名言)

   講評   nara

 長文では、「トンボ王国を作る」というかなり大掛かりな提案があったけれど、では、私一個人に何ができるか、というと難しくなってくる。大掛かりなことももちろん大切だけれど、それが「私にはできない」という足かせになってしまっては元も子もない。大掛かりなことをやるためには、気軽に取り組める要素がどこかにないといけないのだろうな。
 環境というと、山や川などの「自然環境」のイメージが強いけれど、第1方法を読んでいてそれだけではないということに気づかされる。人もまた環境なのだね。「親だけではなく社会全体で子供を育てよう」というスローガンをよく耳にするけれど、これこそが第1方法だというわけね。自然あふれるところで育っている人だけでなく、むしろ少ない自然の中でそのよさを宝探しのように見つけてきた、若い世代が子供と関わりを持つことも、現実的でいいかもしれないな。
 「心を外向きに」というのは、以前の長文にも関連する話題があったね。確かに、中・高校生の意識が内向きになるというのは、「自我の確立」のために必要なことだ。内向きになるということは、すなわち、その前段階での外向きがあるからこそだと考えるとおもしろいかな。「子供の心が外界へと好奇の対象を求めることは、その後に訪れる自我の確立期のためにも必要なことである。」とかね。
 子供が安心して自然を感じられる空間作りは、何も子供だけのために必要とされるものではなさそうだ。そういう空間は、きっと大人にも必要なのだと思うよ。子供のためのものが大人にも、だれかのためのものが自分にも心地よいものであると思えると、活動もより広がっていきそうだね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)