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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   美しさ   シュシュ

 今年のトリノオリンピックでは、荒川静香選手の「イナバウアー」が話題になった。点数の基準には入らないとしても、それはとても優雅で見ている人を感嘆させる演技だった。あえてイナバウアーをした荒川選手の考えるスケートに対する美意識が認められたかのように、結果的に彼女は金メダルをとった。スポーツにおいての美しさに価値がおかれることが以前よりも多くなったが、学校などの社会では、美しさや楽しさよりも生産性を求めることの方が多い。これは日本社会の問題である。
 その第一の原因は、全体主義の考え方をしてきた日本の歴史にあると考えられる。第二次世界大戦で負けるまでは、天皇を神としてあがめることで日本の国をまとめてきた。私は小学校が私立だったので、小学生のときも制服を着ていた。普通公立の学校に制服はないが、私立の小学校のほとんどは制服がある。なぜだろうか。その学校にしかない特性を前面に押し出し、その学校独自のカラーを作り出すことが必要だからだ。制服を着ることは、この問題に対するとても効果的な策なのではないだろうか。ナチス政権時代の軍の制服はとても格好が良く、この制服にあこがれた者が多かったという話にも通じるものがある。
 第二の原因は、勝敗に大きな価値をおく日本の社会にあると考えられる。水の結晶を作るときに、人間が誉めながら作った結晶は、とても美しい結晶になるという話がある。誉めるのでなく、「がんばれ!負けるな!」と励まして作った結晶がどうなるかは知らないが、勝敗ばかりを気にしている社会では、美しい人間関係が育たないのではないだろうか。「勝ち組」がもてはやされる時代だが、「勝つ」までの手段がずるかったり、冷酷だったりしてもいいのかは疑問である。
 確かに、生産性を追及することは、国の発展や人々の快適な生活に欠かせないことでもある。しかし、現在の社会が、美しさや楽しさよりも生産性ばかりを求めているのは問題だ。「ウォーターボーイズ」という、男子高校生が文化祭でシンクロをするという映画がある。男子がシンクロをしても、そんな競技は公式にはどこにも認められていなく、全く意味のないことに思える。しかし、だからこそ見ている方は面白いと感じることができるのだと思う。美しさとは、別の目的を達成するときのオマケではなく、それ自体を目的にすることに充分価値があるものだ。

   講評   nane

 書き出しうまい。「あえてイナバウアーをした荒川選手の考えるスケートに対する美意識が認められたかのように、結果的に彼女は金メダルをとった。」
 「学校などの社会では、美しさや楽しさよりも生産性を求めることの方が多い。」の問題提起もいいね。
 「ナチス政権時代の軍の制服はとても格好が良く、この制服にあこがれた者が多かったという話にも通じるものがある。」はいい例。ヒットラーは、芸術のセンスがあったらしいから。
 「ウォーターボーイズ」という、男子高校生が文化祭でシンクロをするという映画がある。」というエピソードへの転換が結びの工夫になっている。名言「美しさとは、別の目的を達成するときのオマケではなく、それ自体を目的にすることに充分価値があるものだ。」もよく考えたね。


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