国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   真の環境保全を理解する   あるま

 地球は一部の人間にとって都合のいい地球になっている。もっと言えば、一部の先進諸国の人間にとってである。発展途上国の人たちの経済構造など無視して、「地球にやさしく」などと森林伐採を強いるのである。また、身の回りの生活を見ても、本質的な環境保全とは何か理解していない人が多い。人間は品種改良やさまざまな加工を施したからこそ生きて来られたというのに、それを理解せずに自然のものが良いと叫ぶのだ。そういった矛盾さえ起きている現状だ。このような環境に対する態度では、地球規模の環境保全が不可能になってしまうだろう。
 その対策として、先進国と発展途上国の視点を合わせることだ。具体的には、発展途上国の生活水準を上げるために、先進国が援助をする。援助にも様々な形があるが、有効と思われるのは、技術や知識を伝える形だ。ものやお金を援助すると、実際にその援助を必要とするすみずみの人まで行き渡らなくなることがある。時間や労力は免れないが、生活水準を一定にするという目的ではこの形が適する。地球全体の環境を守ろうとするのなら、先進国も発展途上国も独善的な世界をつくってはならない。助け合い、補い合いをして地球全体の進歩に努めることが不可欠なのだ。
 もうひとつの対策は、自然のものを良いとする考えのもとをたどることだ。例えば、なぜ有機野菜が登場したのか。有機野菜とは農薬や化学肥料を使っていないとして注目されているが、そもそも農薬や化学肥料は人間にとっての品種「改良」から生まれたはずだ。この「改良」がなければ、果たしてこれほど増大した人口に食料は追いついていただろうか。そう考えると一概に「有機野菜は良い」と一口に言ってしまうことはできない。人間がたどってきた道が作り出したものだから、有機野菜を賞賛することがこういったプロセスをたどった私たち自身を否定してしまうことになる。他人が「良い」と言うからといって必ずしも良いのではない。その他人にはこの矛盾についての知識がないだけなのかもしれない。
 確かに、私たちがこの社会で快適な生活を送り、飽食の時代と言われ、衛生面にも不安を抱かずにすむようになったのは、自然を自分の都合の良いものにしたからだ。しかし、自然環境とは人間の手で好き勝手に変えられるものではなく、それ自体のサイクルが尊重されるべきものである。だから、先進国の人が途上国の事情も知らずに思い立ったように環境保全を提案したり、環境保全の本質も求めずに流行語のように語っていると、地球規模の環境保全には手が届かないままだろう。 

   講評   huzi

 1時間でここまでしっかりした意見文に仕上げるのは、並大抵のことではないと思います。力が入ってきたね。各段落に配した論点や実例が生きた、よい作品になりました。
  先進国の独善的な環境対策を疑問視した長文の意見です。「地球にやさしく」と、地球を自分の都合の良いように変えてきた人間。さらに、その人間たちも、搾取する側とされる側に分かれているという現実。全体としての環境保全はたやすいことではなさそうですね。【予測問題】はこの点をしっかりとらえられました。
  【対策】は、具体例によって補強できたね。視点をあわせるためには、援助の形をモノではなく技術にすべきだという考え方。また、自然=善と安易に信じて表面的な逆戻りをすることのおかしさを指摘できました。
 結びの段落も、【自作名言】→【予測問題】への流れはいいと思います。
 1点、流れがずれている部分があります。どこか、わかりますか?
 反対意見理解です。書き出しの【予測問題】では、環境保全への無理解や矛盾を示していますね。ところが、反対意見理解は、無理解や矛盾そのものではなく、自然を改変してきた人間への理解が示されています。ここは、
 「確かに、環境悪化に対する問題意識が強まってきたことは、何もせずに自然を破壊するに任せるよりはいい」などと、意識のありかたという視点で述べていくといいでしょう。

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