創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   キックベース   うさちゃん

 「いっくよぉ。」
「ドカーン。」
「ナイスボール!」
私は今、一塁まで全力で走っている。なぜなら、キックベースをしているからだ。
 キックベースとは、ハンドベースと同じようなものだ。しかし、ちがうところが一つある。それは、ボールを足でけることだ。私はキックベースをするのが大好きだ。特に十人くらいでやるとめちゃめちゃ楽しい。なぜキックベースが好きかというと、思いっきりけると、なんか気持ちがもやもやしていても、ボールとともにいやな気分が空高く飛んでいってしまうからだ。だったらサッカーでもいいじゃないかと思うかもしれない。しかしそれはちがう。私は守るのも好きなのだ。転がって来たボールもキャッチし、ランナーにあててアウトにしたり、フライのボールを「スポン」と取るのは気持ち良い。それだけではない。アウトにすると、みんなが「やったね。」とか、「なかなかやるじゃん。」と言ってくれてとても嬉しくなるのだ。こんな時私は、まるでもやもや気分と嬉しい気分を両替したような気持ちになる。
 私も最初はキックベースが、そんなに上手ではなかった。けろうとしても、からぶりして、靴だけすっ飛んでいってしまったり、けっても、とんでもない方向に飛んでいってしまったりして下手だった。そのころは、自分にバッターが回って来るのがいやになったものだ。なぜなら、みんなが、「何だよぉ。すぐアウトじゃないか。」とか、「あいつがいるからこうなるんだよ!」と言うからだ。でも、だんだん練習しているうちに、同じ失敗はしなくなって、今みたいに上手になったのだ。まさに失敗は成功のもとだ。
 キックベースをやるのは簡単だが、そのボールを確保するのがたいへんだ。なぜなら、休み時間の始まりのチャイムと同時に、用具入れに走って行き、一番にボールを取りに行かないといけないからだ。しかし、
「俺達がさきに取ったんだぞ。」
「ちがうよ私達がその前に取ってたんだもん。」
「でも俺たちは昨日、使ってないぞ。」
「えー。昨日の昼休みに使ってたよ!」
というボールの取り合いが必ず始まってしまうからだ。ボールを確保しても、もう一つ取り合いになることがある。それは、キックベースをする場所だ。キックベースをするには校庭の隅っこが必要だ。しかし、ほかの学年も使うため、ボールを取ったら急いで校庭にいく。しかし、そこでも、
「私達が最初に、取ってたんだよ。」
「嘘だろ。」
「うるさい!チビ。」
「うるさい!デカ。」
という場所の取り合いになる。最近では、年下でも負けない。でも、中には、ゆずってくれる優しい人もいる。そんな時は、今度はあの子達にゆずってあげようと思うものだ。
 キックベースをして付いた気がついたことがある。それは、失敗をするからといって、いじめたり、仲間はずれにしたりするのは、している本人だけが、スッキリすることで、された相手は、とても悔しくて悲しい思いがするということだ。でも、こういうことがあるからこそ、「なにくそ〜!次は打ってやるからなー!」と上手になったり、強くなったりするのかもしれない。私も、前は下手だったのでこんな気持ちが良く分かる。だから何げなく人の心をきずつける言葉には注意しなければならない、ということが分かった。
「きーん・こーん・かーん・こーんきーんこーんかーんこーん。」
中休みが終わる。
「また昼休みやろうね!」
誰もいなくなった校庭に涼しい風が通り抜けた。

   講評   tama

 校庭を元気に駆け回っているうさちゃんの姿が目に浮かびます。読んでいると、みんなの歓声に包まれているような気持ちになりました。(^_^)

【前の話聞いた話】 何にせよ、誰でも初めから上手にできる人はいませんね。悔しい思いをバネにして一生懸命練習したからこそ、今のうさちゃんがあるのですね。立派です。
 ボールや場所の取り合いの場面は、今も昔も変わらないなあと思いながら、楽しく読ませてもらいました。

【たとえ・ことわざの引用】 気分を「両替したよう」とは、うまく言ったものです。小銭をお札に換えるとすっきりするものね。(私だけじゃなくてよかった!(笑))
 「失敗は成功のもと」。ことわざの使い方もいいですね。

【わかったこと】 自分がされて嫌なことは、人にもしてはいけないね。たとえ悪気はなくても、人を傷つけることがあることをよく覚えておかなくてはなりません。(「人の振り見て我が振り直せ」なども使えそうですね。)
 「好きこそものの上手」。これからますますキックベースがうまくなることでしょう。お友達と仲良く、思いきり楽しんでね。

【書き出しの結び】 休み時間の始まりと終わりを、作文の書き出しと結びにうまくあてはめることができました。「情景の結び」もすごくいいね! よくできました。


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