創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自立しよう   クララ

 ある朝、私は一冊の本と、ひときれのパンをポケットに入れて家を出て、気の向くままに歩いて行った。不思議な、あるひそかな不安を感じながら、私は少年時代に喜びを味わった、なじみの場所を見まわした。小さな庭や、花で飾られたバルコニーや、湿った、日の当たらない、敷石が苔で緑色になった中庭が私を見つめた。それらは、昔とは違った顔をしていた。汽車が輝く鉄路を走って来て、私のそばを通り過ぎた。それを見送った私は、一瞬非常にはっきりと、ここではもう私の本当のよろこびが花咲くことはないと感じた。そしてあの列車に乗って世の中へ出て行きたいと、心の底から思った。
 確かに,幼い頃に何かに熱中することは大切だ。例えば,私は小学生の時、一輪車に熱中した。小学校には何台も一輪車があった。休み時間が来るたびに私は一輪車をとり、体育館で友達と練習した。壁に手をついて体重を掛け,壁にしがみつきながらゆっくりこいでいく。はじめはぎこちなくてなめらかには滑ることができないけど,それでも乗ってこいでそのおかげで動いている,ということがとてもうれしかった。何度も何度も練習するうちに、慣れてきたのか、壁につかまりながらでも、滑らかにこげるようになっていった。そして、だんだん慣れて壁がなくてもできるようになったとき,うれしくて私は友達と笑いながら体育館の中を走り回った。
 しかし、人間には、親や自然や友達から離れて、ひとり孤独に自分を見つめるような時代も必要だ。童話「桃太郎」がいい例だ。桃から生まれた桃太郎、我が子のように育ててくれたおじいさん、おばあさんに別れを告げ、鬼が島へ。一人で旅立っていったことが、桃太郎にとっての自立への第一歩なのである。いつまでもいつまでも、子供のように甘えていてはいけない。童心を忘れない、というのもいいが、そんな考えでは、世の中に対応することができない。人と助け合うことも必要だが、自分でできることは人に頼らない、と自立していかなければ、時代についていくことが難しくなってしまう。何事も、自分で、と強い精神を持たなければこれから大変だ。
 確かに、無邪気なことは大切かもしれないが、しかし、物事を一人でじっくり考えることも大切である。一番大切なのは、無邪気なことでもなく、物事を一人でじっくり考えることでもなくて、無邪気な心を持ちながら、その心を表に出さず、じっくりと考えることである。「辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である」という名言があるように、無邪気な人間にならず無邪気な心をうまく使えばいいのかもしれない。 

   講評   takeko

いい意見が書けましたね!「要約」うまい!「意見A」一輪車はいい例ですね。だって、中学生以上で一輪車に乗っている人はあまり見かけませんよね。しかし、中にはずっと一輪車の魅力にはまり続ける人もいますね。確か、世界の一輪車ダンスの大会では、日本人青年が1位か2位をとっているはずです。こう考えると世の中おもしろいですよね。しかし、彼にとっても、一輪車のおもしろさは、無邪気なものから、大会へ出たり、ほかの人に一輪車の魅力を伝えるという「自立」したものにどこかで変わったのですね。大きくなっても一輪車を続ける、と決心したときから。
「意見B」「昔話実例」「反対意見」「名言」もいいですね。特にいいのは、「総合化の主題」「無邪気な人間にならず無邪気な心をうまく使えばいいのかもしれない」という意見です。
まさにそのとおり!無邪気な心というのは、人間の行き方のもととも言えますね。しかし、「いつまでも大人になりたくなーい。純粋な子どものままの心でいたいの♪」という考えは少しちがいますよね。子どもの無邪気さは、そのあとの人生をみのりあるものにする基礎です。でも、そのからにとじこもる、ということを大きくなってもやっていては、それは「自己中心」になってしまうのですよね。だから、クララさんの意見が理想そのものといえます!

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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