創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   手作りのぬくもり   サニー

 あなた方はとくと考えたことがあるでしょうか、日本はすばらしい手仕事の国であることを。すべてを機械に任せてしまうと、第一に国民的な特色がとぼしくなってくる。また、機械は世界のものを共通にしてしまう傾きがある。それは、残念なことに、人間が機械に使われてしまう為か、働く人からとかく喜びを奪ってしまう。だから、手仕事を守らなければならない。しかし、残念なことに日本では、かえってそういう手の技が大切な物だという反省が行き渡っていない。職人たちは、物で残ろうとし、名で残ろうとはしない。

 ぼくも、少し分かるような気がする。去年の夏休みに宮城県の松島にある円通院というお寺に行って、普段、まるでアクセサリーのように気軽に腕につけることが出来る数珠を作った。自分の好きな色が選べるから、自分にあったサイズのものを作ることが出来、自分でお気に入りの数珠が作れた。しかも、世界に一つだけしかない自分だけのカラフルなオリジナルの数珠が作れた。作った後、自分で作ったという達成感があり、嬉しかった。さらに手作りだと味があると思った。僕は、この数珠をお守りとして、時々、はめている。

 以前、テレビのNHKで放送していた、「美の壷」という番組を録画してあり、その中で、古伊万里について放送している回の番組を、母が見せてくれた。その中で、江戸時代に作られた、日本初の磁器として有名な、古伊万里焼鑑賞の壷として、
1.釉薬をかける時についた指跡のいびつさが、人のぬくもりを感じさせるということで、人々の心をひきつける「初期伊万里は指跡のぬくもり」
2.コバルトと一緒に混ぜた、ゆずの木の灰がにじみを生む効果を与え、ふぁーとした淡く枯れた白と溶け合いぼやけている青「青は枯淡を味わえ」
3.磁器の白は生地そのものの色で、するどく真っ白ではない、人肌のぬくもりのある、やわらかい白「白は濁った米のとぎ汁」
などを紹介していた。
そして、最後に江戸中期の18世紀頃からもてはやされた人気の唐草模様について紹介していた。これらの見事なまでの唐草模様は、現代の人間国宝級の作家をもってしても、描き得ないほど、すばらしいできばえの作品であり、これらは名も無き職人の手で作られたということだ。一人の職人が、すべての工程を経るのではなく、灰を混ぜる職人、白い生地をこねる職人、線描きの職人と分業化されており、それぞれが、自分の仕事をただもくもくと続けた結果、現代作家では作り得ない、作品を生み出してきたということだそうだ。
最後に民芸運動の父、柳宗悦(やなぎむねよし)の言葉を紹介していた。
「淀みなき線、それはひとえに腕を磨くお蔭である。今時、これらの染付けを描ける人がいたら、世の天才と仰がれているだろう。無名のそれらの工人達に、私は、つきない敬愛を贈る。彼等こそは、世を美しくしてくれた人々ではないか。」

 僕が、わかったことは、機械でものを作ると大量生産できて便利だが、大量生産品の中には、自分の好きな色やサイズが無かったり、お気に入りのものが無かったりすることがあるということだ。そして、機械製品より、「人を相手にせず、天を相手にせよ」ということわざがあるように、手作りのほうが暖かいぬくもりと味があることがわかった。


   講評   komiko

 サニーくん、こんにちは!今回もたくさんの時間をかけて書き上げてくれましたね!

 「要約」では、バランスのとれた選び方で、不自然にならないように書けましたね。最後の文章の「職人達は、」のあとに「正しい品物を作るこのことにほこりがあるので」を付け加えると、そのあとの「物で残ろうとし、なで残ろうとはしない。」とのまとまりがよくなると思いますよ。
 「自分らしい体験」は、サニーくんが作った、まるでアクセサリーのような世界に一つしかない数珠について書いてくれましたね。「作った後、自分で作ったという達成感があり、嬉しかった。さらに手作りだと味があると思った。」と自分の気持ちを丁ねいに表現できましたね。いいですよ!

 「聞いた話」では、「職人の仕事へのこだわり」のテーマに合ったテレビの番組内容をくわしく書くことができましたね。お母さまの協力のおかげで、こんなにすてきな作文が書けましたね!

 「わかったこと」では、『機械製品より、「人を相手にせず、天を相手にせよ」ということわざがあるように、手作りのほうが、暖かいぬくもりと味があることがわかった。』と書くことができましたね。このことわざ(西郷隆盛の名言)は、読む人がこのテーマと結びつけるのが少し難しいので、「ことわざにあるように」のあとで、「自分の技を高めるために職人は敵は自分の心の中にあると知り、自分をいましめながら作品を作っているのだ。」と入れると、読んでいる人が、テーマと直結させることができると思いますよ。

 今週も大事なポイントを全部入れて、とてもレベルの高い作文が書けましたね。本当によくがんばりました!

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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