低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
受験がもたらす影響 まなピー
進学率の上昇に伴い、さまざまなサービスが現れてきた。その一つが偏差値である。これは自分の成績の位置を確かめ、自分の行くことのできる学校を探すための道具である。確かに、偏差値は子どもの学力を認知させ、目指す学校への起爆剤となった。しかし、偏差値でランク化されることで少しでも偏差値の高い学校へと願い、受験戦争が起こっている。このまま自分のしたいことかどうかも分からない受験を他人にあおられながらするのは、自分の意思を持てず、また自分の行動に責任を持てない大人を生んでしまうだろう。
そのための対策として第一に、世間の言葉を鵜呑みにしないということだ。今、薬学部、薬科大学が非常に人気である。私の学校でも非常に多くの人が、薬学部を目指し化学と奮闘している。実際私も、両親に勧められて一時考えたことがあった。薬学部は免許を取れば、働き口に困らないし結婚して、仕事をやめていてもまたすぐに就職できる。給料も悪くないそうだ。こういったもののために、本当に薬剤師になりたくて薬学部を志望しているわけではない人もいる。そういう、自分に高利益がくるような進学の選択はきっと後に後悔する日が来るに違いない。実際進学情報雑誌などによると、薬学部は人気絶頂の時に各大学が設置しすぎて、かなり人気がさがってきているようだ。しかも、薬学部卒業生が増えることで就職も厳しくなっているようである。このように、世間の言葉を鵜呑みにして後で後悔するなら、自分のしたい道をきちんと進むべきなのである。
また第二の対策として、「受験がすべて」という考えを捨てるということだ。第一志望校に合格することが人生のゴールであるならば、その人の人生はなんてちっぽけなんだろう。確かに、受験は大切だ。自分の行きたいところへ行って、しっかり学ぶべきだからだ。しかし、私は結果だけがすべてではないと思う。本当に大切なのはその結果までの課程なのである。自分の目標を掲げ、そこへ向かって一心不乱に向かっていくその情熱こそが、これからの自分の生きる糧となるし、また自信に繋がるのだ。最近の若者には破棄がないといわれるのは、こういう自分の未来への努力に対する意志の弱さからそういわれてしまうのだろう。
確かに、日本を作り上げていく政治家やその他、有名評論家や学者など私達の憧れの存在となっているエリート達の出身学校は、たいてい高学歴である。そして、その人たちを目指している私達が、偏差値に振り回されながらそれらエリート校を目指すのも無理はない。しかし、
「夢は学歴と偏差値で変化するものではない」
というように、本来受験というものは自分のものである。世論のものでもないし、両親、先生のものでもない。自分で進学先を調べ、決定し、入りたいと思い目指すための受験である。まさに今の若者に「自分の意思を持つこと」や「自己責任」が足りないことをあらわにするものの一つだろう。このまま、受験に対する考えが変わらないようならきちんとした大人になれないという点は、今後の受験社会の問題である。
講評 huzi
自分の人生を切り拓く手段としての受験ではなく、受験システムに適応し、そのなかで名声を上げるために頑張る受験になってしまっている点を問題視した意見文。ちょうど今、未履修が大きな問題となっています。文部科学省や学校の責任が問われていますが、生徒たちには全くなんの責任もないのでしょうか。また、 履修していない科目の成績で推薦入学できてしまうって、どうなのでしょう。
電話で話してくれた通り、自分の状況を客観的に見つめながら、率直な意見を展開できたね。「理想論かも」と謙遜(?)していましたが、葛藤する気持ちは十分に伝えることができていますよ。説明のていねいさ、考えのほり下げが惜しみなく行われています。
危機感を持って示した【予測問題の主題】。そしてそれに対する【対策】。最初にあげた【対策】が具体的な視点で述べられているのに対し、2番目の【対策】は、生き方という大きな視野を持って考えたね。
世間の価値観などは、10年たてば変わります。ここは、実際に調べた【体験実例】が生きたね。また、人生で大切なのは何なのかということも、高校三年生にして実に鮮明に理解・説明できているなあ。
【反対意見理解】のなかに、「その人たちを目指している私達」とあるのは、ちょっと先走りした印象。政治家有名評論家学者。私達が目指す理想といえるかな?
受験は大変ですが(笑)、自分の長所短所を知り、可能性と限界を知るいい機会です。すべてを体験しておくことは、今後の人生の糧になるでしょうね。
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