創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   機械からの脱出   はる

 『レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(rage against the machine)』というロックバンドがある。
“機械に抗する怒り”とでも訳すことの出来るこのバンドは、読んで字の如し、怒りを発し続けているバンドである。あらゆる権力・制度に対して否定の行動を起すことこそをロックであると断言し、また、ストレート過ぎる程の政治的なメッセージを隠そうともしない…。自分達の音楽それ自体がすでに一個の政治であり、抗議する内容もまた政治であるのだが、ここで私達はあることに注意しなければならない。と言うのも、バンド名を今一度よく見ると分かるのだが、戦う相手である政治が、「機械」と名指されていることだ。このバンド名は決して虚飾ではなく、権力の末端で起こる暴力から、権力の中枢神経である総合的な組織化までの全てを「機械」と呼んでいるのだ。
このような機械に抗して、私達は常に個体性を持ち続けるべきだ。(第一段落 要約・意見)
 そのためには、マニュアルに頼らないことが大切である。まず、それ自体に頼った時点で既に個体性は失われている。無論、マニュアルに著されていることは、“正しい”に等しい。しかし、その行為は単なる真似であり、自分の思考や努力、そして想像力が何一つ入っていないため、個体性などひとかけらもない。
人間はどうやら流行というものにかなり弱い動物らしい。“ファー”が大ブレークした4年前の冬頃、ファッションシ誌をはじめとする多くの雑誌で、ファーについての特集が何ページも続き、また街を歩けば見る人全てがファーの付いた服を着ていたように思える。まるで一つの連携プレーのような影響である。しかし、流行とは言え、ファー一つ取っても、やはり似合う人とそうでない人と分かれてくる。体全体が縦に細く、引き締まっている人にはよく似合うが、横に太く、締まりの無い体型の人は、残念であるが余計に膨張して見える。何が言いたいのかというと、自分をしっかりと見つめ、自分に似合うものを身につけることが、その人をより良く見せる手段である、ということだ。流行に惑わされまいとする、その行為から個体性は生まれてくる。(第二段落 方法1・実例)
 また、“正しい”とされる結果よりも、途中の試行錯誤の過程を評価する社会作りにも心掛けたい。今は全てにおいてマニュアル、簡単に言うと「見本」がある。数学では、単元ごとに必ず公式があり、物理などでもそれは存在する。その公式に数字を当てはめて計算し、ケアレスミスさえしなければ自動的に答えへと繋がる。たいそう便利なものだが、これでは暗記するのと変わりない。これが試験となると、どれだけの公式を頭に詰め込んだか、また利用出来たかによって点差が生じる。大学受験などでは、これで合否が決まるといっても過言ではない。
エジソンが『1プラス1は、なぜ2となるのか』と疑問を持ち始めたのが、後に多くの科学を発明するきっかけとなったのは有名な話である。この話ではないが、最も大切なこととは、公式を用いて正解を出すことではなく、公式が生み出される前までには当たり前のように行っていた試行錯誤なのである。そこでどれだけ頭を使ったか、また、どれだけ集中、且つ真剣に解いたかである。ここを評価するようになれば、今みたいに急ぎすぎる社会ではなく、もっと落ち着いたものになるのではないだろうか。世界に名を残す、偉大な伝記人物は皆、努力を惜しむことなく、試行錯誤の生涯を送ってきた。それによって生まれたといえる公式も多くあるが、そんな公式だからこそ、簡単に使ってしまうのは何だか少し勿体無く、失礼のような気もする。(第三段落 方法2・歴史実例)
 先人の知恵を生かすことも能率を上げることである、という意見も否定は出来ない。しかし、それだけに身をゆだね、自分自身を見失ってはいけない。自分らしさという個体性をもっと大切にすべきである。ちょうど百年前にヴァレリーは言った、「“方法”が制覇するのだ」と。方法とは一体何であるかという疑問が、自身の頭をよぎる。それは、人を手助けするという善ではなく、自分を見失わせていく、一種の悪なのかもしれない。(第四段落 反対理解・自作名言)

   講評   tama

 ノウハウ本やマニュアル本がベストセラーになる時代ですが、これに頼ると失敗というリスクが少ない代わりに、個性や創造性が失われてしまうのも確かです。既に出来上がったマニュアルを真似するのではなく、試行錯誤を繰り返しながら自分で見つけた「方法」だけが、「自分のもの」になるのだということに、私たちは早く気づくべきですね。

第二段落: ファッション雑誌などの「マニュアル」に頼りすぎると、おしゃれな洋服もただの制服のようになってしまいますね。まずは「自分をしっかり見つめること」。これが大切です。

第三段落: 数学の公式や化学記号、歴史年号の暗記法などはとても便利なものですが、自分で答えを導き出したり、独自の語呂あわせを考えて覚えたものの方が、しっかりと頭に入りますよね。エジソンの例からもわかるように、試行錯誤の過程がなければ新しい発見や発明はありえません。これを評価するべきだという意見は、非常に共感できます。

第四段落: 先人に学び、能率を上げることで文明が発達したのは確かですが、「方法」に頼りすぎては思考力が衰え、個性を育むこともできませんね。「善ではなく一種の悪」とした自作名言には、はっとさせられました。よくできています。


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