国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

昨日2426 今日2541 合計54877
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   冷や冷や初体験   うさちゃん

 「降りるぅ。」
「もう一枝上に上がれるでしょう。」
「だって木の枝が手に刺さったんだもん。」
木登りをするのは今日が初めてだ。初めてだから私はこれで十分だと思うのに、母は「もう一枝。」と言う。もう一枝と思っても、足がすくんで上へ進めなくなり、ズルズルと降りてしまった。枝は斜めに伸びているし、いろんな方向に伸びているから登るがなかなか難しいのだ。
 しかし、アスレチックだと、木登りで登った程度の高さぐらいは怖くないのに、なぜ木登りだと怖いのだろうか。それはきっと、木は自然に出来たものだから枝が四方八方に伸びているのに対し、アスレチックは人間が作った物だから、規則的に組み立ててあるから怖くないのだと思う。
 さっきはもう二度とやりたくないと思っていたが、お昼ご飯を食べて一腹すると、またやる気が出てきたので、もう一度やってみた。今度はだんだんコツをつかんできて、もう一枝高くまで登れるようになった。そのコツとは、『登る時も降りる時も必ず三点で支える。そして残りのもう一点を動かす。』『上の枝の様子を確かめながら登る。』だ。私が登った高さは、二メートル五十センチメートルくらいだが、私には、まるで三階建てのビルから下を見下ろしているように思えた。
 もう一度登った時は、ひょいひょいとうまく登れて、少し楽だった。しかし、母に
「おにぎり投げてあげようか?」
と言われると、「冗談じゃない!」と思ってあわててサルのように素早く降りた。なぜかというと、母は、もうすでにおにぎりを持って、投げようとしていたからだ。
地上についてから、母に、
「何でおにぎりを木の上で食べるの?」
と聞いた。すると、
「木の上で食べると地上で食べるより美味しい様な気がしない?」
というので、
「そんなの、味わう余裕なんてないよ!じゃあ、お母さんは小さい頃木の上で何をしたの?」
と聞いてみた。
「高いところからの景色を楽しむだけよ。地上から見上げるよりも、見下ろす方がいいからね!あっ。あと、屋根の上にも登ったのよ。」
と嬉しそうに子供の頃を思い出していた。母のたくさんの思い出が私にもなんとなく分かった様な気がした。
 私は小学校一年生になるまでは、高いところも、高いところに登るのもきらいだった。縄ばしごなんて「とんでもない!」という感じだ。五段のジャングルジムの一番上にも登れなかった。最低でも三段だ。今では低すぎると思うくらいだ。
 今回の木登りの経験で、初めてやることは、なんでも余裕がないということが分かった。『習うより慣れよ』と言うように、もっとチャレンジして上手になれば、木の上でおにぎりが食べられるかもしれない。
 公園の出口で、わたしは、もう一度登った木を見上げた。木が、「今度は上でおにぎりを食べてね。」と言っている様な気がした。

   講評   tama

 初めての木登りは、「冷や冷や」の連続だったかと思います。しかし一度やってみると、次はもっとうまく登れるようになっているから不思議ですね。今度はおにぎりを味わう余裕があるかもしれませんね。木の感触を確かめながら、一枝、一枝、と登っていく様子が手にとるように感じられます。私も3〜4年生のとき、近所にあった柿の木に登っていました。ほんの少し高いところにいるだけで、何だかえらくなったような気がしたのを思い出しました。

【前の話聞いた話】 お母さんは、木登りだけでなく、屋根の上にも登ったことがあるのですね。やっぱり初めは怖かったのでしょうか? うさちゃんも1年生のときに比べると、ずいぶん度胸がつきましたね(笑)。

【たとえ・ことわざの引用】 降りるときは「サルのよう」に素早かったのですね! 人類の祖先がサルであったことが、これでわかったでしょう。(^O^)
 「習うより慣れよ」は、まったくその通りですね。いくら教わっても、実際にやってみなければ、うまく登れるようにはならないものね。

【わかったこと】 だれでも初めてのことはうまくできなくて当たり前。周りを見る余裕なんてあるはずないですよね。今回の出来事で、それがよくわかったよね。

【書き出しの結び】 初めての体験の達成感と、次への新たなチャレンジ精神を感じさせる結びです。またひとまわり成長したうさちゃんが目に見えるようです。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)