創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自分の生きていきやすい環境   あるま

 歴史家は、自己中心性を是正しようとしている。自己中心性は、一方ではあきらかに現世の性の本質をなす、生の一つの必要条件なのである。しかしまた一方では一つの罪であり、つまり生あるいかなるものもそれらが一個の自己中心的な被造物の要求にこたえるためにのみ存在しているかのようにみなしていい権利などない。自己中心性の課している問題とは、生死の問題であり、あらゆる人間がつきまとわれている問題である。国においても、自己中心性の欠落は愛国心のない社会を生み出すし、またそれが強すぎると他から孤立してしまうという両者のバランスが問われるだろう。
 では、どうすればそのバランスがとれるだろうか。対策の一つとしては、自己中心的になりすぎぬよう、自分を絶えず是正することだ。かなり抽象的な表現になってしまったが、具体的に言うと歴史から学ぶということが挙げられる。先にも述べたように歴史家は自己中心性を是正する仕事をしているのだから、良い自己判断材料になるだろう。例えば、戦時中日本はその戦争の真の状況を国民には詳しく伝えなかったという。日本は勝っている、お国のために私たちも頑張らないと!・・・国民がそんな気持ちを失い、国について来なくなることを恐れたのであろう。しかし、国はこのとき自己中心的であった。国が国民の、真実を知る権利を都合の良いように奪ってはならない。また、そのことは国民の生き方をも左右することにもつながった。このように過去の事例から自分を見直すのも一つの手である。
 また、客観的になりすぎない策をとることも不可欠だ。その対策としては、愛国心を持つことを忘れずにすることだ。国民ひとりひとりが愛国心を失ってしまっては、社会は成り立たない。日本のことに関心をもたなくなるからである。私は身近にも感じられることだが、例えばクラスで文化祭や体育祭といった行事に取り組む時、まとまったクラスというのは、ひとりひとりの行事にに関する関心が高い。そして、クラスをまとめるための自己中心性を持ったリーダーが必要である。そのリーダーの役目というのは、クラスのみんなの関心を引きつけることであり、そうすることでひとりひとりクラスを愛する心が生まれ、愛するクラスのためなら力を出し合おう、といった気持ちが高まるのである。私は当たり前のことを多少大げさに述べているだろうか(笑)。しかし、実際社会にでてもつまりはこういうことだ。言葉で述べるのは簡単だが、愛クラス心、つまり愛国心を保つのは簡単ではない。人は感心がなくなるとすぐに自国を客観視し、批判し、自分は責任の外だといった意見に転じやすい。
 確かに、私たちは歴史を学ぶが、それによって客観性のある見方ができるかどうかは疑問である。まず他国の人とは価値観も違うので、私たちから見た客観性も他から見れば自己中心性とみなされることもある。そういった問題も絡んでくると事態はますます複雑になる。しかし、生きることに意欲的になるとは、自己中心性又は客観性の度合いのよってはかられるものではなく、その人にとって生きていきやすい環境に身を置くことである。結果的にその「生きていきやすい環境」が意味する者は愛国心のある国へ、また孤立することのない国へと向くのだろうが。

   講評   huzi

 厚みのある意見文に仕上がりました。自己中心性は、生きていくために不可欠ですが、行き過ぎると周囲との軋轢を生み、生きづらくなります。国同士の関係においても同じ。現代の国際関係を見ていると、明らかです。
  【対策】、よく練りこんでいますね。とくに対策の1は、ある集団(国)の自己中心性が、その成員(国民)の自己を奪い去ったという、苦い経験を踏まえつつ、それを具体的な方策(歴史を学ぶ)に結びつけて説明できました。
 愛国心を、愛クラス心にたとえた説明もユニークです。関心がなくなったのを、客観化にずらして正当化してしまう例は、時々ありますね。リーダーだけが責任とはいえません。それぞれが、自分を生かす場所を見つけて取り組もうと思う意識が必要ですね。客観化ばかりでは、集団の中で自己を生かす場所を見つけることはできません。

 結びもよくまとまっていますが、欲を言うと、「その人にとって生きていきやすい環境に身を置くことである」は、ちょっと弱いかな。身を置く→作り上げる、では。積極的に環境に交わりつつ、環境を作り上げる行いの中に、よい意味での自己中心性、ひいては愛国心が育つのではないかと思います。

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