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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   持つこと、貸すこと   あるま

自分の所有物を他人に貸すと、自分の現実支配の事実が終わったことによってそのものに対する自分の所有権は弱いものとなる。そして借主があらたにはじめた現実支配の事実は自分の所有権から独立した一種の正当性をもちはじめ、所有権に近いものとなる。そういった、所有権に対する意識の危うさは、役得や株の所有権といった問題にも広がる。所有権が意識されなくなったり、曖昧になるということは社会において問題である。
 そんな問題の対策のひとつとして、まず自分の所有権を奪われないよう、防備することだ。自分の所有権は自分だけに許された権利である。だから、それを他人に一時的に譲渡したからといってもあくまでも自分の一部なのだ。貸し主は貸す条件や期限等、借り主にはっきり伝えておくべきである。私はよくものを借りては、ついつい返すのが遅くなってしまう。そんな時、確かに貸し主は私に気遣ってか、催促はしてこない。あまり接点のない友達はもちろん、かなり親しい間柄の友達でもはっきりとはそのことを訴えてこない。そして、そんな事実を分かっていながらも人間というものは都合の良い考え方をする生き物で(いや、私だけなのかもしれないが。)、催促されないうちは返さなくても貸し主にとって不都合ではないのだろう、と解釈してしまう。このようについ身近にも所有権とは人の間でどんどん危ういものになってしまっている。貸し主は何も遠慮することはない。むしろ自分のものには責任を持って貸さなければならない。事は済んでしまってからでは遅いので、仮に貸したものが返ってこなかったり、傷つけられたりした時に一概に借り主のせいにばかりできないのだ。
 また、誰かの所有権が一時的に自分の手へ渡った時にどんな対処をすべきかということを教育を通して皆が知っておくことだ。そもそも「ものを借りたら借りたときの状態で返す」といったことは常識である。私が常識である、と考えるのは無論、子供の頃から親や先生に言われて教育されてきたからだ。それができない大人がいる、となるとやはりそのような教育が大いになされていなかった人がいるということだ。新聞などを読んでいても、最近は驚くような記事をよく目にする。児童虐待、いじめに対する自殺・・・。私は昔から教育により身に付いた感覚があり、このようなニュースに愕然とすることがある。例えば、いじめにはどう対処すべきかは昔からよく教えられてきたので、すべてを理解しないまでも自殺という発想と結びつかない。(無論、そのようないじめを体験していないからかもしれないが。)このように教育、特に子供の頃からの教育は感覚として自身に残り続けるので、この問題の解決策にも繋がるだろうと思う。
 確かに、所有権を主張しすぎると融通がきかなかったり、ものの貸し借りについても自由がなくなったりするので不便になるだろう。しかし、自由とは決して権利の濫用とは繋がるものでなく、権利を厳守してこそ初めて成り立つものである。だから、所有権は責任を持って管理すべきであり、また所有権の返還には常識をもって意識しておかなければならない。所有権が誰のものか定まらなくなれば、間違いなく社会は混乱し人々は所有権を巡って争うだろう。

   講評   huzi

 隙あらばわが物にしてしまおうと、思っているわけでなくとも、何となく曖昧にとか、言い出せなくてということはありますね。トラブルになって初めて、問題意識が浮上します。
  お電話でもお話したとおり、役得の問題と所有権をどのように関わらせると、全体について論じることができるか、工夫が必要ですね。

所有権に対する意識の危うさは、役得や株の所有権といった問題にも広がる。所有権が意識されなくなったり、曖昧になるということは社会において問題である。

 これで、いいでしょう。たしかに、人のものや本来自分が受け取るべきではない公の利益を所有してしまうのは、所有権に対する意識の曖昧さが原因です。
 この論点をもう少し深めてから、各論に移ることができればいいのですが、そうなると、限られた時間で役得と所有権の関わりについて、分析が必要で、【対策】を展開する余裕がなくなってしまいます。つながりを簡潔に述べられられれば、よしとしましょう。
  【対策】は、妥当な見方を示せています。権利意識を主張しすぎると、人間関係がぎくしゃくするのではと心配するのが日本人ですが、言葉を惜しまずに説明し、相手の理解を得ようとする姿勢が、これからは求められるでしょう。
 二番目の【対策】は、アレンジすればどの論点にも使えるね。教育は、点数ではあらわれない人間性を作るためのものだね。
  自由と権利という大きな見方で示した結びも、これでいいです。あえて言うなら、人々は所有権を巡って争う⇒権利の濫用は収まることを知らないだろう。と、所有権に限定せずに結んでもいいね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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