創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本の「いいえ」・外国の「NO」1   クララ

 いつか米国人に英語を習っていた日本人が、弱々しく「ノー」と答えて、もっとはっきり態度をあらわせと注意されていたのを思い出す。日本語の否定は「質問」の文型あるいは質問者の意向に向けられているが、英語の否定は質問を受ける側の、現実の行為の有無に向けられている。しかし日本人は不安になると、「いいえ」のかわりに小声で「はい」という人さえある。こういう場合は、声の調子とか表情とかを総合して判断することが必要だ。日本人は、いつしか読心術のようなものを身につけ、ことばのみせかけにまどわされることはないが、外国人にとっては、解しがたいことが少なくないようである。
 確かに、欧米人のように、「いいえ」をはっきり言うことは大切だ。曖昧な態度をとらず、自分の意思をはっきりと示せば誤解を招く恐れがない。例えば、セールスマンが来た時、私たちはたいてい「結構です」や、「いいです」などの、断りの言葉を用いる。しかし、それらは、場合によっては、「YES」と取られてしまうこともあり、それが、詐欺に合う原因になったりもする。「遠慮します」などの、明らかに「断り」とわかる言葉を使えばよいが、曖昧なものは、わが身をも滅ぼすものになるだろう。また、私は、日本人は断ることに対して、消極的だと思う。はっきり言って、私は断ることがものすごく苦手だ。この間も、「はさみを貸して」といわれた。いつもなら「いいよ」と、さっと渡すことができるのだが、このときは、これから使うという時だった。だから、私は、「え、あ、うん。いいよ。」の、「え、あ、うん。」のところで、言いながら瞬時に考えた。「今貸してしまえば、しばらく返ってこないだろう。つまり、しばらく私は使えない。しかし、ここで断ってしまって、私の株が下がり、もし、変なうわさでも流れでもしたら、それこそ大変だ。はさみごときで、そこまでことを大きくしたくない。」というのを、約1秒間で考えた末、貸すことにした。そのあと、やっぱり、はさみをしばらく使えなくて、しばらく困った。やはり断った方がよかったのか、とも考えてしまった。
 しかし、日本人が「いいえ」をはっきりと言わないのは相手に対する思いやりの気持ちが働くからだ。相手の気持ちを配慮する日本人の奥ゆかしさは大切にすべきだ。例えば、ちょっと具合が悪そうな友達に、「大丈夫?」と聞いたとする。その友達が日本人ならば、ちょっと具合が悪いだけだから、「大丈夫だよ。」と、心配をかけないように言うはずである。これは、相手を思っての言葉である。また、相手がしてくる質問によっては、「はい(YES)」という答えが返ってくることを前提あるいは期待していることがある。こういうときに、はっきりと、「いいえ(NO)」と、答えてしまうと、完全に否定したり、拒否しているように聞こえてしまい、なんだか相手に悪いような気がしてくる。かぐや姫は、地上での結婚できないことはわかっていても、男性からの数々のプロポーズにはっきり「いいえ」と断ることをしなかった。この、相手を思いやるかぐや姫の優しさは日本人独特のものかもしれない。
 確かに、外国人のように誤解のないようにはっきりと言うことも、日本人のように相手の気持ちを考えながらはっきりと言わないこともどちらも大切だ。しかし、「悪いことそのものがあるのではない。時と場合によって悪いことがあるのである。」という名言もあるように、相手がどのように答えて欲しいかを察しながら、答えることが、大切なのだろう。

   講評   takeko

今回も快調、とてもよく書けましたね!「要約」うまくまとめました。「要約」はたいへんですよね。私も今、本の批評を書く仕事をちょっとしているので、本の要約を考えて読んでみたいと思ってもらうように書くことで苦労しています。「意見A」ここの実例おもしろい!「今貸してしまえば、しばらく返ってこないだろう。つまり、しばらく私は使えない。しかし、ここで断ってしまって、私の株が下がり、もし、変なうわさでも流れでもしたら、それこそ大変だ。はさみごときで、そこまでことを大きくしたくない。」というのを、約1秒間で考えた末」ほんと!こういうこと、日本人的日常ではありますよねえ。そのありがちなことを、こんなふうにおもしろくわかりやすく書けるというのが作文の大事なところなんですよね。こんなとき、欧米の人はどう言うのでしょう。「オー、ワタシモ今カラ使ウノデダメデース、ソーリイ!」とか言うのでしょうか。でも、欧米の人ははっきり断るなら、はっきり「断られ慣れている」かもしれませんね。だから、「I see! ナラホカノ人ニ借リマース」とあっさりこだわらないかも。でも、やっぱり日本人にとっては、「自分の意見を押し通しすぎだなあ」と感じるかもしれませんね。引用してくれた「名言」のとおりですねえ。「思いやり」について、相手も「感謝」してくれればいいですよね。

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