創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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ご飯の味は気分しだい! うさちゃん
「いただきます・・。」
今日は私の大好きなホタテフライだ。でもなんとなく食べたいとは思わない。なぜなら、さっきお父さんに怒られたからだ。お母さんだったら、いつも怒られているので「ハイハイ。」という感じだが、お父さんに怒られると「ハイハイ。」ではすまない。ショックなのだ。(父は、三日間くらいしないと機嫌が直らなのだ。)そんな私を見てお母さんが、
「せっかく作ったんだから早く食べてよ。」
とせかしたが、なかなかはしが進まない。食べた物も、まるで、ざらざらとした物がのどを通った感じでちっとも美味しくなかった。
本当は大好きなはずのホタテフライ。いつもなら最初に二つ最後に一つとちょっと名残りおしそうに食べるのに、今日だけは、全然味わわないで飲み込んでしまった。今、その事を思うと、ほたてがかわいそうになってくる。でも、その時は、「今日のご飯なんておいしくたべるもんか!」とか、「そういうつもりで言ったんじゃないのになあ。」とか、ますますまずくなるようなことを考えて食べた。
まずかったことと反対に、美味しかったことはどうか。もちろん初めて食べた物も美味しいが、いつも美味しいと思っているものが、もう二度と食べられないと思って食べる物は格別だ。先日、よく食べに行っていたレストランが閉店してしまった。ここに来ればいつもあの味に出会えると思うと、そんなに感動はしない。でも、「これが最後だ。」と思って良く味わいながら食べたら、いつもよりさらに美味しく感じられた。(感動!)最初も美味しいけれど最後も美味しいんだなあと思った。
お母さんも、美味しくて感動したことがあるらしい。
「お母さんは、うなぎが大好だけど、そんなに高いうなぎは自分が働くまでは食べたことがなかったの。でも、社会人になって初めていただいたお給料で、家族にうなぎをごちそうしてあげたの。その時のうなぎのおいしかったこと!!まあ、値段が高かったからかもしれないけど。」
そこですかさず私が、
「どの位高かったの?」
「そうだなぁ。『一人前五千円』かなぁ。」
「えぇ〜〜!一人、五千円!」
「でも、値段じゃなくて自分のお金でごちそうしてあげたから、美味しかったんだと思うなあ。」
お母さんの家族はとにかく多いから、「お母さんは偉いなぁ。」と思った。最後にちょっと、「私も大きくなったらそのくらいするのかなぁ。」
とつぶやいて、気が遠くなるような気がした。
これらのことから、その時楽しい気持ちだったり、自分のお金で大切な人にごちそうした時の食べ物は、美味しく感じる。しかし、いやな気持ち、おどおどして食べる食べ物はどんなに美味なものでも美味しく感じない。つまり、いやな気持ちのときのごちそうは、『猫に小判』
だということが分かった。
私は、ホタテフライがどうしても食べられなくてずっとホタテフライをお皿に置いていた。そこに、妹が、私が怒られたからといってわざと甘えた声を出して、
「ホタテフライほしいなぁ〜。」
とお母さんに、私のホタテフライを指差してねだった。私は、ホタテフライを乱暴に
「食べれば?」
と妹のお皿に置いた。今日の食卓はなんだかテレビだけが場違いのように、にぎやかな音たてていた。
講評 tama
大好きなホタテフライがおいしく食べられなくて、残念でしたね。同じ食べものでも、その場の雰囲気や気分によって、味が違うように感じられるものなのですね。まさに題名通りです。でもどうせ食べるなら、やはりおいしく食べたいですよね。
【前の話聞いた話】 「これが最後」だと、いつもよりよく味わって食べたものは、やはり印象に残るものなのですね。
お母さんが初めて家族にごちそうしたうなぎは、お母さんにとっても家族にとっても、きっと忘れられない味になっていることでしょう。みんなのお腹も心も、満足でいっぱいになったのでしょうね。(^^♪
【たとえ・ことわざの引用】 「ざらざらとした物がのどを通る」という感覚だったのですね。「砂を噛むような」という表現がありますが、まさにこのことを言うのでしょう。
おいしく食べられないごちそうは「猫に小判」。ことわざをうまく使いましたね。
【わかったこと】 ことわざと「わかったこと」を上手に結びつけることができました。
【書き出しの結び】 テレビの音が、食卓の気まずい雰囲気を伝えています。よく考えましたね。
※ 進級テストは合格です。おめでとう。\(^o^)/
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