低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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コツを掴む うっちー
物事には長い年月をかけて初めて会得できるコツがある。読書にしても初めて読むようなジャンルの本は何冊か通じて読むことで初めて全体がはっきりと分かってくる。歴史の本を読むときも同じ時代の人々の伝記を何冊か読まないとその頃の日本全国のイメージが掴めない。多くの人の一生を見ていくことで始めて起こった出来事を多角的な視点で捉えることができるようになり、より理解が深くなる。スポーツ選手の中でも長いスランプを一瞬の新鮮な閃きで乗り越えていける人々がいる。長い試行錯誤の末に得られる閃きこそが価値あることを理解し、得るために努力するべきだ。そのための方法は二つある。
そのための第一の方法は、新しいことを始めてすぐに挫折するのではなく、どんなに自分の性に合わないと感じても我慢してみることだ。人間が物事を理解できるようになるにはそれなりの経験の蓄積が必要だ。私も小学校の5年生までは全く泳げなかった。何かトラウマでもあったのか水の中に入ることが嫌いで、学校の授業がプールの日はひたすら雨になるように祈っていた。5年生にもなって一向に泳げる気配の無かった私を心配した両親はとうとう私をスイミングスクールに連れて行った。当初私は最も下のクラスにいれられて結構年の離れたお子様たちと共に水に慣れる訓練をさせられた。一年近くそのスクールに通ったのだが、毎週義務として律儀に泳ぎに行くにつれてだんだん泳ぐのが楽しくなっていった。
また、第二の方法は行動を起こしてもすぐに結果を求めない事だ。イエスが自らの教えを説き始めた頃にはほとんどの人々が彼を信じず、迫害した。結局彼は十字架にかけられて殺された。だが、彼の弟子たちが何百年にもわたって熱心に布教したことで国の宗教として認められるといったほどの成長を遂げ、今では世界三大宗教と呼ばれるまでに至った。イエスが成果はすぐには期待できないことを知っていたからこそ後のことを弟子たちに任せて死んでいけたのだろう。もし、自らが生きているうちに成果を上げようとして急いでいたら胡散臭くなり決して人々はついてこなかっただろう。
確かに今の時代ではアクションを起こしてすぐに反応でき、成果を上げられるようなスピードが必要な時もあるだろう。しかし、多くの試行錯誤を重ねることは本人に能力が無いのではなく、本人の能力がまだ目覚めていないからである。スピードが求められる現代で試行錯誤を繰り返していて飽きないということも、一つの能力のあらわれだ。我々はいかに素早く結果を出すのかではなくいかに飽きないで同じようなことを続けてコツを得られるかで競うべきなのだ。
講評 nane
第一段落の状況実例、わかりやすくて密度が濃いね。
水泳の体験は具体的。こういう身近な体験をこのテーマのようなところで思い出すと、自分自身や人間というものに対する理解が深まる。
宗教の例も面白い。現代ではつい、大衆的に広く普及させることを優先しがちだけど、当時の人々は、広くなくてもいいからまず深くと考えたのだろうね。そして、それが実際に成功した。
反対理解もよく考えた。「多くの試行錯誤を重ねることは本人に能力が無いのではなく、本人の能力がまだ目覚めていないからである。」は名言になっている。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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