国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   素直になれば   一休さん

 「運命は変えられない」というような言葉を私は昔に教えられたし、実際に嫌になるほど体験している。例を挙げれば、ペットの死や愛敬を抱いていた物の破損などである。アライグマに亀を食べる事件や毎日使用していたコップの落下事件は、事前に知っていれば回避できる事態だが、現実では知る由があるはずなく後の祭りとなるのである。幼かった私は悲しみが胸の奥から湧き出てきて母親に泣きついたものである。その時の母親の慰め方は不変で「こういう運命だったのよ」の一言だった。幼く単純な私も、成長して複雑な私も運命に従う。それは、人生に「仮の話」は全く意味を成さないからである。すなわち、私は過去の事柄はどのように捉えても運命である事は間違い無いから、「あの地点で〜していれば」のような考えは無用であると考えているのだ。だから、私は運命を受け止める生き方がしたい。
 その第一の方法は、自分が素直に受諾できそうにない運命を予め想像し、準備しておくことだ。己にとって本当の苦渋と成り得る運命を想像する事は、それだけで大変つらいし、そんな事は起こるはずないという気持ちが強くなる。また、それを想像する事は価値が無いとも思う。しかし、突然の不幸で多大な精神的な傷を負って、人生から逃亡する事は愚かな行動をするよりは賢明な策である。心構えが備わっていれば、心の痛みは多少弱まるだろう。自慢ではないが、私は生まれてから学校に遅刻した事が無い。現在、無遅刻を維持するために一層の努力をしている。しかし、前途多難な人生は何が起きても不思議では無いから、私は「もし自分が遅刻したらどうなるか」を想像した。まず、無遅刻維持の状態が崩壊する事で自らのアイデンティティーも崩れ去る事、そして遅刻しても構わないという淡い考えが浮んで、だらしのない生活を送る事を想像した。だから私は中途半端に膨張したプライドを捨てる対策を考えた。不幸な事にこの想像が役に立つ事態が私を襲った。ある現地集合の遠足で電車路線が麻痺してしまったのだ。普段、学校まで一駅の私はとても慌てた。何とか現地に集合したものの、やはり集合時間に遅れたのである。しかし、対策が効果を発して私のプライドは案外縮まり素直に受け止められた。人間不信に陥らなかった運命からの褒美なのか、幸い、多人数が遅刻したため私は遅刻扱いとならなかった。(体験)このように、自分から率先して運命を想像すると、意外に受諾できるようになる。それは、人間は運命という絶対的な理由をつけると楽な気持ちになるからかもしれない。
 その第二の方法は、後悔しないように今を生きる事だ。仮の話を考える必要も無く人生を送る事が可能ならば、人はとても楽な種族である。しかし、前途多難な人生は悔い無きものなどありはしない。だから、その後悔の数を一つでも減らす事がこの方法の目的となる。平家物語の中納言「平知盛」は後悔しないように、壇ノ浦の戦いで平家一門の滅亡を全てを見届けた後、「見るべきものは全て見た」と言って、海に沈むのである。(死んだ後に後悔しないようにだが…)実質的将軍としての心がけを失わないための彼の苦肉の行動であったに違いない。(伝記)
 確かに、どうしても受け入れられない運命は存在する。それが存在しない者は人間ではない。運命と深く結びついているのは「死」である。若く死ぬと「運命のはかなさ」のような単語が用いられる。死ほど想像しにくく、後悔しないように迎える事が困難なものはない。しかし、我々人類は様々な死を受け入れて発展してきた。だから、我々も受諾が「できない」ではなく「できる」で死に向き合うべきである。そうすれば他の運命も受諾できるに違いない。「人間は強くなるほど素直になれる」という名言通り、人の心が強くなるほど運命を受諾する能力が上がる。だから、私は強い心を持って運命を受け止めたい。

   講評   nane

 これは、いい書き出し。問題の焦点が絞られるね。運命を受け止めるという抽象的な主題が、とてもわかりやすく書けている。
 運命を予め想像するというのは、いい方法。昔の武士も、いつでも戦いの準備や死ぬ準備をしていたらしいからね。自分の実践の例を書いているので説得力がある。アイデンティティの崩壊というところも、自分を客観的に見ているね。
 平家物語の引用もうまい。織田信長も、明智光秀が反乱を起こしたと知ったときに言った一言が、「是非に及ばず」だった。いつも、覚悟の上で人生を送っていたのだろうね。
 「強くなるほど素直になれる」もうまく入れた。反対理解は、「運命を変更しようと努力することも大切だが」あたりかなあ。アラビアのロレンスが、言った一言が、「運命は、自らの手で作るものだ」だった(アラビア人は、すぐに『神のおぼしめしのままに』というので)


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