創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   忘れられた世界への驚き   レックウザ

 「想像してもらいたい。ある朝、パパとママとトーマス、二つか三つの男の子が、キッチンで朝食を食べているとき、突然パパが天井近くまでふわっと浮かび上がったのだ。それを見たトーマスとママは、トーマスはもちろんびっくりだが、別に彼の目にたいしたことには映らない。それに比べてママは、びっくり仰天してけたたましく叫んだ。これは「習慣」の問題である。ママは人間は飛べないということをとっくに学んでいて、トーマスは学んでいない。私たちは子供のうちに、この世界に驚く能力を失ってしまい、それによって、私たちは大切な何かを失うのだ。」私は幼い頃、いろいろな謎をかかえていた。どうして鳥は飛べて、人間は無理なのだろう。どうして空は青いのだろう。どうして太陽はまぶしいのだろう、などということだった。たくさんの謎の中でも一番不思議に思ったのは二つある。
 まず一つ目は、なぜ人形は動かないのだろう、ということであった。もしかしたら、人形は人間に見られると、恥ずかしくて動けないのではないか。ひょっとしたら、人間が人形を見ていないときだけ、人形は動くのではないか、と私は考えたのだった。幼い頃の私は、自分の部屋のドアの前にまるで忍者の足のように音も立てず、ワクワクした気持ちでドアを突然開けるということが時々あった。無論、人形は動くはずがなく、部屋の中はシーンとしている。その度に、「なんだ、つまらないの。」と私は少し期待はずれだったというような顔をするのだった。しかし時が経つにつれ、人形は動かないものというのは常識だということを学んだ。いろいろな常識を学ぶと共に、幼かった頃かかえていた謎は消えていった。
 そして二つ目。それは、どうして他の生き物は人間の言葉を喋らないのだろう、ということであった。人間は他の人間とは会話ができるのに、なぜ他の生き物とはできないのだろうか。まだ何も知らなかった私は、母に聞いた。
「ねえお母さん、人は他の人とは一緒におしゃべりできるのに、どうして他の動物や植物とはできないの?」
私の質問を聞いていた母は、少し戸惑っていた。
「それは、えーっと・・・。」
「ねえ、どうして?」
頭の中は謎だらけの私は、しつこく尋ねた。
「今のあなたは、別にそんなこと考えなくてもいいのよ。」
母は答えられないというように言った。
「それは、大人になってからわかるからね。」
「えー今知りたいのにー。」
私は口をとがらせた。母は微笑みながらも困ったような顔つきであった。きっと、まだ何も知らない私を、現実に突き落とすようなことはしたくなかったのだろう。しかし、その真実を知りたくなくても、大人に近づくにつれ、どうして他の生き物達とは会話ができないということがわかってしまった。そしてその謎は解決し、その他の謎もどんどん解決していき、最後には幼かった頃の謎が全て消えてしまった。大人になると、あまり空想はしないようになり、代わりに現実的な考えが私の頭の中に入っていくのだ。
 人間にとって幼い頃の謎とは、その謎次第で、長いこと考えさせられたり、またもしかしたらこうかなという期待を持たせてくれたりするものだ。しかし、悲しいことに、大人に近づいていくと、もう幼い頃かかえていた世界に驚く能力はなくなっていき、代わりに現実的な考えが頭の中に入っていってしまうのだ。「初心忘るべからず」、世界に驚くという素晴らしい能力を、私は人々に覚えていて欲しいと思っている。

   講評   hoemi

 無限に広がる想像の世界をいつの頃からか失ってしまう大人達。それに対して子どもは固定概念や学びといったものがないからこそ、何にもとらわれない自由な発想ができるのだね。大人と子どもの違いに焦点をあてて書けたね。
【構成】 ある現象に対する大人と子どもの反応の違いを軸にまとめられたね。
【題材】 子どもはことあるごとに「なぜ? どうして? 」という疑問が浮かぶよね。大人は「もうすっかり分かり切っていること」として物事にあたるので、子どもに疑問を投げかけられても「そういうものだから」としか考えられなくなっているんだね。大人には「ありえない」「考えもしない」ことも、世界に驚くことを失っていない子供にとってはすべてが「ありうる」ということを具体的に例示できたね。
【表現】 動いているかも知れない人形を見ようと、抜き足差し足で部屋に近づく様子をうまくたとえられたね。
【主題】 一般化の主題はよくできています。固定概念や先入観にとらわれない考え方、ものの見方がいつまでもできるのが理想だよね!

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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