国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   そっ啄の機とは……   スワニルダ

 そっ啄の機という言葉がある。得がたい好機の意味で使われる。早すぎず遅すぎず。まさにこのときというタイミングがそっ啄の機である。人間にとって価値のあることは、大体において、時間がかかる。じっくり時間をかけたものでないと、長い生命をもちにくい。寝させておく。温めておく。そして、決定的瞬間の訪れるのを待つ。そこでことはすべて一挙に解明される。勉強したことを機会あるごとに復習していると、知識がおのずからほんものになって身につく。そっ啄の機はいつやってくるかしれない、折にふれて立ち返ってみる必要がある。
 私にもこんな話がある。以前の作文にも書いたが、「ロイヤルバレエスクールダイアリー」という本だ。今一番の愛読書だ、と書いた。今は全八巻のうち六巻まで出ているので、すぐに購入して読んだが、だんだん飽きてきた。もちろん、今でも主人公のエリーやその他の登場人物は大好きだ。だが、まず字が大き過ぎるし、本の内容が簡単、ワンパターンなのだ。多分、小学校二・三年生むきだと思う。もし、2年前にこの本に出会っていたら、もっともっと夢中になっていただろう。そっ啄の機がずれてしまったために、一番の愛読書であった期間は短かった……。
 でも、また私の中に新鮮な愛読書が出てきた気がする。それは「赤毛のアン」。主人公のアンは想像力がすごいし、考え方まで神秘的だ。そこの点がエリーより私と似たタイプの気がするのだ。本の内容の中で、私とアンの考え方がピッタリ合うのだ。まるで双子みたいに。この本は、去年の秋ごろ、母が買ってくれた。さりげなく、
「おもしろいから、読んでみれば。」
と。もちろん、題名は知っていた。母が買ってくれた「赤毛のアン」は、講談社の文庫本「完訳クラシック」のシリーズだった。母は、自分自身特別な思い入れのあったこの本を、ジュニア版のようなものではなく、完訳で、私に読んでほしかったのだと言う。しかも自分が気に入った、現代的なセンスのいい訳で、とこだわって、いろいろ読み比べて決めたそうだ。これが、ずばり当たった。読みやすい。楽しい。難しすぎず、簡単すぎず、物語の世界は最高におもしろい。アンの言うことにはいちいち納得できる。まさにそっ啄の機。
 それに比べ、エリーと私は多少意見が違うのだ。まぁ、他人なのだし(笑)、違うのは当たり前なのだけど、主人公の性格が自分のとって理解しやすく、さらに、その物語の内容がおもしろく感じられたら、それが真の愛読書になるのだと思う。つまり「ロイヤルバレエスクールダイアリー」は三日坊主で終わってしまった。何とも悲しい現実……。(笑)
 分かったことは、本に限らず、何に関しても、今現在の自分自身にピッタリ合うのがそっ啄の機である、ということだ。物事はタイミングが大切なのだ。

   講評   nara

 私たちには色々な出会いが準備されているのだろうね。その相手は人だったり、本だったり、学問だったり……一つ一つの出会いが人を育てていくのだね。「一期一会」という四字熟語もよく使われる。覚えておこう。
 今回は、本との出会いについて、二つ、体験実例を紹介できたね。「いい本」と言われているものでも、それをいつ手にするかによって、その人にとっていいか悪いか違いが出る。そのことを二つの具体例からしっかり導き出せたね。『ロイヤルバレエ……』について、自分自身を振り返った場面がいい。そのときどきには「今がまさにそっ啄」と思っていても、振り返るとそうではなかったと思うこともある。人は経験を重ね成長していく。次にまたさらなるそっ啄の機に出会うために、日々過ごしていると考えることもできそうだね。
 まとめのわかったことを「本に限らず……」と大きくまとめているのがいい。6年生の【主題】の課題に「一般化」というものがある。これは、大きなまとめを「人間にとって……とは〜である。」という形にすること。最後の文をこの形でまとめてごらん。スワニルダちゃんだったらすぐに書けそうだよ。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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