創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

昨日2356 今日2639 合計11993
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   “自分”という在り方   はる

自分の周囲には、あまり自分の同類はみつからないのに、書物の中にはたくさんの同類がみつけられるというのはなぜだろうか。ひとつの答えは書物の書き手になった人間は、自分と同じように周囲に同類はみつからず、また、しゃべることでは他者に通じないという思いに悩まされた人たちではではないのだろうか、ということである。もうひとつの答えは、自分の周囲にいる人たちもみな、実はしゃべることでは他者と疎通しないという思いに悩まされているのではないか。ただ、外からはそう見えないだけではないのか、ということである。私たちはみな、自分を特別な存在だと思い込む傾向がある。しかし、相手はまた自分たちと同じなのだと思うべきだ。そのための方法は二つ考えられる。(第一段落 要約・意見)
 そのための方法は第一に、相手の立場に対する想像力を持つことだ。これは言い換えると、相手側に立って物事を考る力を持つ、ということになる。多くの人は、自分を中心として物事を考えてしまう—言わば「自己中心」的である。最近、相手側に立たずに、傷つけるような発言を公の場で口にした政治家がいる。その政治家は男性であり、その「傷つける言葉」とは、女性に対してである。そもそも、“その政治家”とは、厚生労働大臣である柳沢伯夫氏である。彼は、松江市で「これからの年金・福祉・医療の展望について」と題して行った講演会にて、出生率の低下を唱えていた。その際に、「機械って言っちゃ申し訳ないけど」、「機械って言ってごめんなさいね」などの言葉を挟みながらも、「15−50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは人頭税で頑張ってしまうしかない」と、述べてしまったらしい。女性はヒトを増やす機械・装置であるという発言は、女性側に立って考えれば決して口にはできない言葉であろう。よって、彼自身も男女を問わず、大勢の議員や国民から辞任を叫ばれている。しかし、辞任という二文字では済まされない問題かもしれない。彼の発言は、男尊女卑に繋がっている可能性がなきにしもあらずだからである。このように自己を中心とした発言や行動ばかりを取ってしまうと、自身をとんでもない事態に陥れるだけではなく、それによって傷を負う者も比例して出てくるということを肝に銘じておかねばならない。(第二段落 方法1・体験実例)
 また、第二の方法として、自分たちだけの狭い世界に安住しないことだ。江戸時代で新撰組の組長として活躍した近藤勇は、戊辰戦争で「旧幕府軍」として戦ったうちの一人だ。彼の身分は農民であり、故郷である多摩という狭い世界で生きてきた。後に同年代の若者たちを集め、京都へ向かった。そんな狭い世界で育った上に、少しばかり愚直な彼だが、幼い頃にもっと広い世界を知り、物事を考えていたならば、また少し違った歴史を築けたに違いない。環境は自身の人生を大きく左右するとはこのことだ。もっと広く世界を見据え、それを軸として自分自身というものを見つめることは大切なことである。(第三段落 方法2・歴史実例)
 確かに、ある分野を深く極めるということは大切だ。しかし、それが自己満足に陥る理由となってはならない。自分とは、誰でもない唯一無二の存在であると同時に、客観的に見る自分も“自分”であるのであり、間違っても主観的な価値だけの存在ではない。それを知った上で、“自分”という存在を更にきわめていくというのは、簡単なことのようで実戦するには以上に難しいこと—『言うは易く行うは難し』である。(第四段落 反対理解・自作名言)

   講評   tama

 人間の心の中は複雑ですから、様々な感情や考え方が渦巻いているものです。それは決して自分だけではなく、相手もまた同じなのだと知るべきなのです。会話や書物を通して知識を増やすこと、自分にできない経験を重ねることは、非常に重要だといえるでしょう。

【複数の方法・実例】 相手に立場に立つ想像力を身につけること、狭い世界に安住せず、視野を広げることの2つの方法を考えることができました。政治家の問題発言の例はタイムリーで、非常によいと思います。ただあまり長く書きすぎると、本来の意見が見えなくなってしまうので、清書に選んだ場合は、具体的な言葉をやや短めに、まとめの部分をしっかりと強調していくといいでしょう。
 武士道を守り通した新撰組の例は簡潔で、意見に合ったものです。よい実例を挙げることができましたね。

【反対意見への理解・自作名言】 いろんな角度から見ればものの形が違って見えるように、「自分」という存在も、見る人や状況、自分の心理状態によっても見え方が違うものです。自分(相手)を知ることは奥が深いのだと、哲学的にまとめることができました。今回も非常によくできています。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)