低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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マラソンは大切! スワニルダ
「あ〜、今日はマラソンかー。やだなー。」
今日はクリスマスミニマラソンの日だ。天気は最悪のどんよりした曇り。おまけに冷風も吹いている。
「こんなんじゃ、やる気も出ないじゃん。」
私は、最初からやる気が無いのにそう文句を言った。
クリスマスミニマラソンとは、私の学校で5年生だけが出場する、リセ・フランコ・ジャポネとの交流マラソンのことだ。場所は、九段下の北の丸公園だ。だが、このイベントにも唯一の楽しみがある。それは、終わったらパンとジュースをもらえることだ。マラソン嫌いのほぼ全員、これを目当てに来ているのだ。(笑)
学校に着いたら、まず運動着に着替えた。電車で行くので、その上にコートを着て茅場町の駅へ、まるでカメのようにノロノロと歩いていった。中にはウサギのような人もいたが……。
北の丸公園は思ったよりも広かった。そこには、リセの軍団が密集していた。彼らはやる気は充分あるらしい。もうすでに、リセの3年生はマラソンを開始していた。先生が
「コートを脱ぎなさい。」
と指示したので、私達はまたもやカメのようにノロノロ脱いだ。脱いだとたん、まるで吹雪みたいな風が、全身を駆け巡った。あっという間に両手に鳥肌が立ち、足がブルブル震えてきた。みんな口々に
「ここは北極か!」
と凍えながら呟いていた。
待つこと10分。凍死しそうな私達の番がやってきた。距離は……なんと1200m!先頭は案内役を勤める、サンタクロースの格好をした、リセの先生だ。
「ピーーーー!」
歯切れのいい音が鳴り響き、私達はスタートした。途中でリセの2人が転んで、号泣している場面を見た。私は(あ〜あ。可愛そうに)以外、何とも思わなかった。最初は
「待ってよ〜。」
などと喋っていたが、だんだん呼吸が乱れ、横っ腹が痛み始めた。
「ハアハアハア・・・。」
みんなの息づかいが聞こえながらも、私は懸命に走った。だが、それも限界に近づいてきた。やはり最後の方で、歩いてしまった。でも、ゴールしたときには、開放感を味わった。
来週の月曜日から、全校でペースラングが始まる。中休み15分間のうち後半5分間走るのだ。もちろん、私はとても嫌だ。でも、まあ頑張って走ろうと思う。
分かったことは、走ることは運動の基本だ。得意な人もいるし、不得意な人もいる。でも、基本ができないと、応用には進めないのだ。だからやはり、走ることは大切! だと思った。
「やっとマラソン終わったね。」
私達は笑顔で言葉を交わした。
講評 nara
書き出しの4行がおもしろい! 「最初からやる気が無いのに……」というところは、マラソンが嫌でたまらないという気持ちがよく出ているね。漫才だったら「晴れてたら、シャキッと走るんかい!?」とツッコミが入りそうだね。「北極か!」は「欧米か!?」のノリかな。
1200mや5分間走は、思った以上につらいと思うよ。短距離だと、全力を出してもせいぜい1分ですむ。3キロくらいだと初めからかなりゆっくりのペースだ。その中間だから、きついのに中途半端に長いという感じかな。自分の体と気持ちのつらさが増してくると、転んで泣いている人がいても、あまり気持ちが動かなくなってしまうのね。余裕がなくなって緊迫しているわけだ。だからこそ、終わったときに開放感を感じるのだね。
走ることは大切……それは確かにそうだけれど、この作文の前半を踏まえると、反対のまとめでもよかったと思うよ。全体的に「いやだなぁ。」の気持ちが強い作文だし、それを受けてまとめも「大切だけれど、好きになれないなぁ。」という風にしてはどうだろう。そうすると、「やっと終わった」という笑顔の意味も、すがすがしさよりやれやれという開放感により近づきそうだね。
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