国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   学問   シュシュ

 フジテレビの長寿番組、あるある大辞典で番組の捏造が発覚した。納豆を食べるとやせるという内容で、翌日のスーパーでは納豆が品薄になるという騒ぎになったが、結局はウソだと発覚した。視聴率をとりたいあまりにウソでも大衆の気を惹くような番組を作ってしまったのだろうか。しかしテレビとは本来、視聴者のために有益な情報を届けることが目的のはずであり、これでは本末転倒である。現在の日本の社会では、学問や仕事に関して、このように元来の目的を見失ってしまっているケースが多いが、これは問題だ。
 考えられる第一の原因は、今日の日本の学問の体系が、どんどん細分化されつつあるという社会的な背景にある。そのため、一度一つの専門分野に集中してしまうと、自分の学んでいることが社会全体にどう繋がっているのかを想像することが難しくなる。英国では理系でも文系でも、一度はシェイクスピアの戯曲を読む機会が学校で必ずもたれると言う。しかし日本にこのような制度は見られない。それどころか、日本の学校では受験に関係の無い科目は省くという未履修問題が持ち上がっている。しかし組織的なものだけでなく、生徒たちの間にも、「受験に関係の無い科目は勉強しないでいい」という意識ができてしまっていると思う。私も、自分の受験に関係のない化学の授業ではよく寝ていた。「○○は受験で使わないから捨てる。」とテスト前に言っている友達も多い。しかし、このような心構えでは、社会へ向ける視野がだんだんと狭くなってゆくだろう。また、原爆を発明したオッペンハイマーは、自分の研究によって多くの人が死ぬことよりも、原爆という実験が成功するかどうかのことばかりを気にしていたらしい。彼はもちろん頭はとても良いが、対人関係を作るのがひどく苦手だったそうで、もっとバランスのとれた人間だったらあのような兵器を作ることを躊躇したのではないか、と私は思った。
 第二の原因は、第二次世界大戦に負けてから、日本は先進国の仲間入りをするために高度経済成長を経験したという歴史的な背景にある。より良い社会を考えるよゆうもなく(と言うか、お金持ちな国になることがより良い社会だと考えていたのだろう)、経済的な発展をがむしゃらに目指していた。そのため、経済的に価値があるものばかりが重視される風潮が出来た。他学部に比べて、文学部は就職が難しいと言われることがあるが、これも文学が経済的利潤に直結しにくいという考えがあるからだろう。ユノハナガエルという深海に住むカエルは、真っ暗な深海では何も見る必要がないために退化して目をもっていない。このように自然界において、必要がなく使われないものはすぐに退化してなくなることが多い。(自然科学実例)人間も、経済的なもの以外の価値を忘れていると、いつかそれしか理解できなくなってしまうかもしれない。
 確かに、がむしゃらに学問や仕事にうちこむことも大切だ。しかし、その大前提であるはずの目的を忘れていることは現在の社会の問題である。村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の主人公は、表面的なことしか分からずに、がむしゃらに自分の住む村を出て行こうとしていたが、最後になって本当の村の意味を知り、村に留まることを決心する。本当の学問とは、探究することを楽しむためでなく、その先の人間のための利益を見つけるためにある。

   講評   nane

 「あるある大辞典」という時事的な話題で始めたところが新鮮。
 第二段落の勉強の目的は、こういうことを考えること自体が貴重。今の社会では、受験に関係のない科目を捨てるという考えの方が格好いいと思われているところがある。損得そのものの価値観というよりも、要領よく立ち回ることに価値が置かれている文化に問題がありそう。確かに、受験という目標のために、何かを犠牲にする(化学の時間は寝るなど(笑))ことはあっていいけど、それが当然視されているところがおかしいのだろうね。
 ユノハナガエルは、おもしろい例。洞窟などに棲む生き物も、目が退化してしまうらしいから、人間にも同じことが言える。経済的利益以外のものが見えなくなってしまうだろうね。この使い方は広がりがあって、いい表現になっている。
 村上春樹の引用と、そのあとの自作名言も切れ味よくまとまった。


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