国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   豊かな社会の弊害   タクミコ

自然に対する人間の働きかけには量についてのものと制御と管理に関するものの二つがある。昔から人はいつでも量の不足に悩み、労力その他のコストを最小限略して最大の収穫を得るという単純明快な目標を掲げてきた。そして技術者は与えられた任務を見事に達成し、問題を一つ解決するとそれが次の問題に対するヒントを与えるという循環を経て量の問題は解決していった。しかし我々は核兵器という現代技術の典型とも言うべきものを機に技術的成功は必ずしもトータルな成功ではないことに気付き、量を制御するものが不足しているということが歴然と見えてきたのである。我々はあまりにも量ばかりを追ってきたために制御の問題を無視してきてしまった。
その第一の原因は技術の進歩が想像以上に速く、身のまわりの便利さが次々と実現されたことにある。我々は「はやく、広く、たくさん」をモットーにとにかくより多くの便益を自然から引き出すことを追求し続けた結果、「量」にしか目がいかなくなり非人間的方向へと向かっていってしまった。例えば、技術大国とも言われる日本では新幹線やコンピューターなど様々な近代科学の発達がみられる。その中でも近年国内・海外両方で最も注目をあびているのは携帯電話の市場である。携帯電話は今や誰もが持ち歩き、小学生までも日常的に使うものとなった。しかし、最初はどこにいても連絡が取れるという便利さから作られたものがいつの間にか人間の遊び相手にまでなっている。私は通学の途中に電車の中でよく学生の集団をみかけるが、以前見掛けた男子中学生の光景は不思議なものであった。彼らは六人程のグループで電車に乗ってきたのだが、ドア付近で立ち止まった後全員が自分のカバンから携帯電話を取り出し、メールやゲーム等をそれぞれし始めた。結局、一人降りていく度に「バイバイ」という以外彼らは一言も口を聞かずにそれぞれの駅で降りていった。このように、様々な技術によって知らず知らずの内に我々の人間的な感受性は変化しているのではないだろうか。
また、制御の問題に目が向けられなかった第二の原因は、我々が目標として掲げてきた資本主義の考え方にある。この物質主義的な考え方において、量とは富を表すものであり、社会的権力をも表すものである。人間は自らの能力を超えてでも富を得るために量を確保しようとしてきたが、それは自然科学の法則には逆らうものだった。自然界に棲むシマリスは冬眠する際には自分の生命を維持するのに必要な量だけの食料を蓄える。シマリスに限らず、殆どの動物は必要以上の量を得ることのできない環境下にある。しかし、人間は唯一天敵のいない動物として自己中心的に量を求めてきたのだ。<<自然科学>>
確かに、量は分かりやすく、全ての人に通ずる基準としやすい。しかし、我々はそれが豊かな社会の弊害であるということに早く気付きその制御と管理という点に着目するべきである。家にこもってテレビゲームで遊ぶ子供たちや一日中コンピューターに向かって仕事をする大人たちの姿は、人間が可能にした技術発展の可能性と同時に人間の愚かさを物語っている。技術は人間がつくったものであるにも関わらず、人間を支配する日がくるかもしれない。昔は外でにぎやかに遊んでいた子供たちが今は無言のまま家の中で画面をみつめていることを思うと、もう既に人間は支配され始めているのではないかと思わざるを得ない。技術とは目的ではなく手段である。<<自作名言>>そのことを忘れずに、我々は制御と管理にも焦点を合わせていくべきなのではないだろうか。

   講評   hota

 まず、満点で、進級テスト合格です。おめでとう。先月は忙しくてあまり書けませんでしたが、でもしっかりと今学期の課題はマスターできているようです。項目も、全てきちんと入りましたね。

 「社会問題の主題」だけは、できれば、「現代においては……であることが問題だ。」という書き方で、問題のありかをはっきりと指摘しておくとよいでしょう。

 複数の原因と、それぞれの実例もいいですね。特に、電車の中の中学生の姿には、確かに少し空恐ろしいものを感じます。技術が、こんなにも人間のコミュニケーションのあり方を変えるのだ、という例として、本当に携帯電話の普及は大きな出来事でした。

 「自然科学実例」、「反対意見への理解」「自作名言」やそれぞれのキーワード(ただし書き)もOKです。よくできました。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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