創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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新しい選択肢 うっちー
現代は、人や物などに対しする人々の関心が希薄な時代だ。隣近所の人と普段から親しくしていることはなく、せいぜい長期の旅行の後にお土産を渡すくらいだろう。互いに関心や対話といったものがないのだ。友達との会話では、お互いを高めるような上質の対話ではなく、それぞれが楽しめるノリが重視されている。一方で、物との付き合いも変化してきている。私も、中学二年生で教わるまでは鉛筆を鉛筆削り以外の方法で削ることは出来なかったし、日曜大工といった言葉も死語となりつつある。現代人は人や物とのコミュニケーションへの関心を無くしているが、そういった無関心は自分の認知できる世界を狭めてしまい、生きる楽しさや面白さを奪うということに繋がる。もっと物や人との関わりを持って関心を高めるべきだ。そのためには二つの方法がある。
まず、第一の方法は日常の中で道具を積極的に使おうと心がけることだ。先日部活で後輩が釘打ちをしていた時に、打つ場所に錐で穴を空けずに打っていた。それどころか、外れにくいように八割程度打ったら木材のすき間に木工用ボンドを流し込んでから残りを打っていた。私も、あまり普段から木工をしたりするわけではないので偉そうなことは言えないが、釘だけで足りないのなら釘を増やせば良いし、どのくらいの間隔で空けるとちょうど良いかは経験によってのみ導かれるのだと思う。今は棚を作るときに木を買ってくる親は少ない。だが、そのような普段の何気ない一コマから子供は多くを学ぶのだ。
さらに、第二の方法は学校生活の中でもっと人との話し合いの機会を与えるようにすることだ。昨年の夏の甲子園で、一風変わったパフォーマンスで世の女性の多くを魅了し今なおその動向が注目されているハンカチ王子こと斎藤投手は日本の中でも指折りの人気者だ。野球少年にありがちな汗臭さが微塵も無く、顔立ちも悪くなくて洒落ていて外見も良かった上に報道陣に対する受け答えがきちんとしている。会見などの面白さなら同じく早稲田大学に入学した卓球の福原愛選手の方が優れているが、メディア慣れしてないにもかかわらず意外にもしっかりした受け答えが出来ていたのだ。そういった知的なところも彼の人気の所以なのだろうが、他の選手にももっとしっかりとした受け答えをしてほしい。そのためにこそもっと小さな頃から人との話し合いに積極的に参加できるように場慣れさせなくてはならない。
確かにお互いの関心が無くとも生きていける世の中になってしまったのならばこれらの努力も無駄だろう。だが、理解は慣れの前にあるものではなく、その後ろにあるものだ。無駄に思えることに触れて、慣れておくことでそのものに対する理解や関心を生む、慣れれば通ずのだ。そのような関心が不在になっている今、慣れようと思ってもなかなかうまくいかないし格好良くないだろうが、他者や道具などいざと言うときに頼れるものを持っている人は自分だけで行動するというほかに選択肢得ることになるだろう。関心を持つことで自らの選択肢を増やすべきだろう。
講評 nane
状況実例で、人と物の両方を書いたんだね。やわらかい書き出しだけど、密度が濃い。
部活の釘打ちの例は、いい体験実例。技術家庭でやる実習だけではやはり実戦のときに忘れてしまう。かといって、普段から熱心に釘打ちする生活上の必要もない。やはり、現代の時代にあった物との関わりができればいいということかな。
ハンカチ王子君のインタビューでの受け答え方もいい例。スポーツもできるが、スポーツだけではないというところが大事なのだろうね。タレントなども、声やルックスだけでなく、やはり礼儀正しいコミュニケーションができるかどうかが重要らしい。どの世界でも共通することだろうね。
「理解は慣れの前にあるものではなく、その後ろにあるものだ」は、意見の内容としていい表現。この考え方は、応用範囲が広そう。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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