創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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高校1・2・3年生
さようなら塩江先生 マッチー
“しょっぱーい”(書き出しの工夫)
涙の味がして思わずぼくはそう言いそうになった。今日は学校の先生の離任式の日だ。ぼくが、四年生の時に受け持ってもらった○○先生が市内の別の学校に転任になるのだ。それを聞いた時、最初は冷静に受け止めたがいろいろな思い出を振り返っているうちにまるでわき水がわいてくるようにまぶたから涙があふれてきた。(たとえ)
春休みも終わりに近づいてきた頃、担任の先生から電話があり離任式で○○先生にお礼の言葉を言ってもらえないかと頼まれた。大好きな先生だったのでぼくはよろこんで引き受けた。それから三日間、先生に感激してもらおうと必死になって先生への言葉を考えた。そして離任式の前日、学校で先生に原稿を見せると、
「心がこもっていてよく書けているね。」
とほめられた。ぼくはこの言葉で大いに自信がついた。そして次の日の離任式では大きな声で堂々と言うことができた。
しかしその後が大変だった。最後まで言い終わった瞬間、ほっとしたためだろうか熱いものが体の中からこみあげてきてそれは大粒の涙とともに体の外へあふれていった。僕の肩は上下に大きくゆれだしとまらなくなってしまった。少し気持ちが落ち着いてきた時前を見ると○○先生も同じように泣いていた。
離任式が終わり教室に帰ってからみんなに冷やかされたが、
「心が汗をかいてしゃあなかったんや。」
と答えた。(ユーモア表現)
別れがあるから出会いがある。人間にとって別れとは、新しい出会いのための関所である。ぼくは、涙がかわいてしょっぱくなったほっぺを水道で洗い流した。
講評 yama
こんにちは。春は出会いと別れの季節。ワクワクするようなちょっぴり寂しいような複雑な気持ちになりますね。マッチー君が経験した一つの別れについて作文にしてくれました。
<書き出しの工夫>今学期の●項目は「書き出しの工夫」だけですが、今まで習ったことを活かして「書き出しの結び」をしてくれましたね!すばらしい!時間の経過もよく表れているし、前向きにがんばろうというような意思も表現されています。
<体験実例>「別れ」というテーマに関して自分らしい体験が書かれているのでこの項目もOKですよ。どこかにシールの代わりに項目を書いておいてくださいね。
<たとえ>「まるでわき水がわいてくるようにまぶたから涙があふれてきた」とたとえてくれました。その先生のことが心から大好きだったんですね。ふいてもふいても涙がとめどなくあふれてきている様子が分かります。
<ユーモア表現>人前で泣いてしまったのを冷やかされるとちょっと照れてしまいますよね。でも「心が汗をかいて……」なんてうまくかわしましたね(笑)ちょっとキザなユーモア表現でした!
<一般化の主題>「人間にとって別れとは新しい出会いのための関所」とはうまくまとめましたね。「関所」という言葉に「乗り越えがたいもの」という雰囲気がただよっています。つらい別れを経験したマッチー君にはきっとまたすてきな出会いが訪れますよ!
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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