創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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時間の存在 紫式部
時計が発明された事によって人々は時間に追われるようになった。パソコンのディスプレイやテレビの画面、もちろん腕時計や、掛け時計、様々な時計から時間が把握できるようになっている。古代にはただ流れていくだけのものにすぎなかった時間が、こんなにも私たちの生活を制御しているのは,やはり時計が社会へ浸透したのが大きな原因といっていいだろう。時間によってわたし達は自分の行動を律し、生活する。しかし、それゆえに時間に追われるように生活している一面もある。時間に縛られる事に息苦しさを感じることもある。なるべく、時間にに縛られずに行きたいものだ。
そのための方法の一つは時間も忘れるくらいに何かに没頭することである。私の趣味といえば本を読むことと、絵を描くことである。日曜日の朝、両親が仕事に行ってしまうと、少しだけなら・・・と思って始めた読書を延々と続けてしまう。完璧に没頭。読書している間、私に時間間隔など存在しない。気が付けばあたりが薄暗くなっていた事も一度や二度ではない。没頭はしばしば世間との壁を作りがちだが、その時間は何者にも縛られない自分だけの至福である。
第二の方法として効率至上主義にならないようにすることだ。2005年4月25日に起こったJR福知山線の脱線事故。107人もの死者を出した大惨事だった。報道内容から推測するに、前の駅での遅れを取り戻そうとして焦ったために起きた事故だったらしい。無理なダイヤを押し付けられたプレッシャーは相当なものだっただろう。時間の厳密さを押し付けることは、時に人を焦らせ、冷静な判断を狂わせ大きな事故に繋がってしまうことを露呈した。日ごろの生活でも、「何時までに」「いつまでに」これをしなくてはいけないという時間が常に付いて回る。それは、私たちに余裕を奪う。この緊張が良く働く場合ばかりではないだろう。社会全体に、効率だけでなく時間に対するゆとりを設けるのも必要だと思う。
人間は自分ひとりで生きているわけではない。当然、多くの人と関わって暮らしているわけだから必然的に守らなければならない時間は出てくる。人は目標を持つとそれに向かって頑張れる。「いつまでに、これをしたい」「あれをしたい」と思い夢に時間を刻むことは目標達成に大事な事だと思う。タイムリミットを設けることは人々に生活のリズムやけじめ与えるという大事な役割を持っているということを忘れてはならない。だが、今の社会は時間ばかりに気を使ってゆとりなどの大事なものを忘れているような気がする。時間は人から強いるられるものではなくて、自分で工夫して作りだすものであると思う。なにカッコ良いことを言っんだよ。と思われるかもしれないが、時間に対してルーズな私が日ごろ感じていることである。
講評 kira
紫式部さん、こんにちは。ちょうど今の社会の問題について原因を解き明かすようなテーマになっていましたね。デジタル社会と言います。ちょっと曖昧でよく遅れたりする古時計の針をながめていたのんびりとした世の中ではなくなりました。一分一秒狂いなく刻む数字が、そこここに映し出されているのです。
本を読んで時間を忘れる体験は、快い疲れを感じさせてくれますね。読書好きの紫さんなら、ミヒャエル・エンデの「モモ」を読んだことがあるのではないかしら。時間銀行の灰色のスーツの男達が、みんなの時間を奪っていった話です。
「効率至上主義」は、じつにうまく論じられましたね。効率がよいことが、優秀であり幸福だとみな信じています。たとえ、電車が一日に三本しか走らなかったとしても、そこには本当の人間らしい幸福があるのかもしれませんね。
さいごに「自作名言」が入りました。すばらしい! 「なにカッコ良いことを言っんだよ」なんて、ぜんぜん思いません。いいまとめになりましたね。
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