国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

昨日0 今日879 合計879
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   時間を感じる   うっちー

 現代人はこまぎれにされた時間を生きている。学校には決められた登校時刻があり、下校時刻までみっちり管理されている。個人の予定だけでなく、社会全体でも詳細なスケジュールがあるので、時刻表があれば半年先の旅行の予定を立てることもできる。現代では時間というのは過去から現在を通って未来に繋がる一本道だと認識される事が多いため、出来るだけ能率よく物事をこなしたいと考える人が多い。人びとが本来もっとアナログで感覚的に捉える事の出来る時間を論理的にしか考えないことは問題だ。
 その第一の原因は高度経済成長期以来のやればそれだけの報酬を得ることができるという考え方が依然として残っている事だ。戦後の日本人はどん底から這い上がるにあたって働くとその分だけ単純に自分達が豊かになっていった。私たちにしても宿題が出れば提出日までに仕上げようと、初日から多くの問題を解こうとする事がある。やればやるだけ明日が楽になるのではなく、明日の負担が減ればすぐに他の科目の勉強をしなくてはと思い出す(笑)。結果として休憩なしで食後に何時間勉強などというタイムスケジュールが出来上がる。一見区切りが出来、効率が上がる良い方法に見えてもその日の体調やテレビ番組といったその他の要素を全く考慮していないのだ。
 また、第二の原因は時間の定義が変わったことだ。一時間は以前なら平均的な一回自転する時間の二十四分の一であったが、今では原子を使って「秒」という単位が定義されなおされたので日常で時間を実感する事は不可能になった。もともと日本では手に触れること全てには神が宿ると考えるが時間を司る神様の話はあまり聞かないのでそれだけ日本人は昔から過ぎ去る時間についての認識が薄かったのであろう。四季の発達した日本では何月何日というよりも、今は桜の咲く季節などと考えた方が適していたのだろう。
 確かに高度に発展した文明の中で直感的な過ごし方だけでは社会全体の効率主義に押し流されてしまうだろう。論理的に管理された時間の流れに乗って進んでいく事は楽なのかもしれない。しかし、時間とは自分が歩いてゆく一本道ではなく、自分と共に歩めるパートナーなのだ。そのパートナーに対して現代日本人たちはあまりに冷酷で感情のこもった対応を怠ってきた。ハイスピードで物事を進めておけば事足りるという時代はまもなく終わってしまうだろう。だからこそ日本人が時間をもっとアナログで理解する努力をしないことは大きな問題だ。

   講評   nane

 第一段落の「現代では時間というのは過去から現在を通って未来に繋がる一本道だと認識される事が多いため、出来るだけ能率よく物事をこなしたいと考える人が多い」の部分は、長文の内容をよく消化して書いた。
 第二段落の「高度成長期の……」は、現代の日本を論じるときの一つのキーワード。決してマイナスの時代ではないけど、その行き過ぎが、今あちこちで問題になっているということだね。
 第三段落の「時間を実感する」もいい意見。「四季の発達した日本では何月何日というよりも、今は桜の咲く季節などと考えた方が適していたのだろう」は、読ませるね。
 「時間とは自分が歩いてゆく一本道ではなく、自分と共に歩めるパートナーなのだ」も、味のある名言。
 これは、清書候補だね。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)