創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
自分で体験するしかない ドラゴン
こればかりは自分で体験するしかないが、方法はないわけではない。第一には旅をすることだ。地球上にはまだ浪費文明に侵されず昔ながらの素朴な生活を営んでいるところがいくつもある。アジア、アフリカのいわゆる第三世界に行けばいまだそれがふつうの暮らし方だし、またアイルランドやメキシコやニュージーランドにたっぷりとそういう暮らしぶりが残っている。オーストラリアの原住民、アボリジニの一人が東京に来たときビルの入り口の自動ドアに驚き、「なんでこんなものが必要なのか。ドアなど手であければいいではないか」と言ったという。そういう思いがけぬ指摘でふだんの生活がいかにムダなもので占められているかを思い知らされるのである。第二に、それよりもっと簡単な方法は、日本文化の伝統の中からそういうシンプル・ライフを実践した人を探し、その生とわが身の現在とを比較してみることだ。西行、鴨長明、兼好法師、池大雅、芭蕉、良寛、等々、探すにも及ばぬくらいそういう生き方をした人物がわが国にはあって、むしろ彼らこそがこの国の文化をつくり出したと思われるほどだ。良寛は恐るべき単純な生活をしながら、心はこれだけ充実していたのだ。結果わたしはクルマの所有と維持を止め、テレビを見ず、クーラーのない、むろん携帯電話だのワープロだのと無縁な、物質文明社会の中であたうかぎりその恩恵を拒否するひねくれ者の暮らしを営むに至ったが、それで満足しているのである。
便利で快適な生活はよい。科学の発達により、私たちの生活は便利になり、私たちは快適に生活できるようになった。クーラーのスイッチ一つで涼しくなったり、暖かくなったり。いつでもどこでも遠くにいる友人と携帯電話で話をすることもできる。
しかし、機械化されていないシンプルな生活もよい。本当に機械化する必要があるかどうか疑うようなものまで機械化されているのが現状である。そのために 失われているものもある。本当に必要なものだけを身の回りに置いて、自然をありのままに受け止め、シンプルに生活することによって見えてくるものがありそうだ。
確かに機械化された便利で快適な生活にも素朴でシンプルな生活にもそれぞれよさがある。しかし、いちばん大切なことは、『私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。』という名言があるように、自分の満足のいく生き方を常に模索 しながら生きていくことである。
講評 kira
ドラゴンくん、こんにちは。私たちは現代物質文明のなかを生きています。便利さを享受するかわりに、何かしら心が乾くような満たされないものを感じたりします。そんな時思いおこされるのは、自給自足のシンプルな生活を送っていた時代の健全さでしょうか。
中世の隠者もそうだったように、豊かさや地位を手に入れると、自分自身を見つめなおしたいという欲求が生まれるのでしょうか。何もない、シンプルな生活に入っていくようです。今、都会暮らしを終え、第二の人生は自然の中で田舎暮らしをしたいと思う人たちが増えているそうです。
両方の暮らし方の良さを知った上で、自分らしく生きるかたちを見つけることがのぞまれますね。
ドラゴンくんは、どんな生き方を志向していくのだろう。これからの選択になりますね。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
|
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)
| |