創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   少年のころの桜は(感)   かいち

 日本語は、花便りの言葉にしても、季節の微小感覚を表し分けて、まことに風情に富んでいる。しかしある日、桜の枝を自分の重みだけで離れた花びらを見ていて、これが地面に達するまでのあいだの状態をぴたりと表す言葉がないのに気がついた。自然はついに言語の及びえないものなのだろうか。しかし、花便りのいろいろの言葉を作り出し、育ててきた美しい日本語だから、私のまだ知らないところに、あの美しさを表す言葉があるであろうし、あってほしい。(要約)
 僕も筆者と同じようなことを、白神の十二湖の一つ、青池で体験した。白神のしめった腐葉土の、道とも言えない道を、下草をかきわけながら進んだ。その奥深くに、青池はひっそりと光っていた。僕は、それを見たとたん、ふと「これは何色というべきか」と考えてしまった。友達は、群青色、深い青、夕暮れの時の深い青などといっていた。もちろん僕は、この友達の立派な感じ方を否定するつもりはないが、簡単な一言では表現することはできない奥深さを持っている気がした。微小感覚を表し分けることができる日本語だからこそ、あの美しさ、奥深さを表現できる言葉があってほしいと思った。(体験実例)
 そもそもなぜ日本人は、花便りの言葉をつくる程、自然に対する感覚がよいのだろうか。僕はこう考える。日本が縄文時代の頃、人々は狩りや漁をし、主な食物を得ていた。しかし、その時代にカレンダーがあるわけがなく、四季の変化を現代のように簡単に知ることはできなかったはずだ。そこで人々は、木の実の採集などの際に、草や花や木の変化を感じとっていたのだ。そこから四季の変化を感じ、獲物のいる場所へ随時移動したのだ。だから、四季の移り変わり、つまり自然に対する感覚がよいのだと思う。
 このように、大昔から自然に対する感覚を養った人々がつくった語句は数え切れないほどある。いつも最適な言葉が、その語句の中にはあるのだけれども、短時間で見つかるとは限らない。筆者のように日本語の中から探し出すのもよいが、日本語の美しさを保ったまま、新しい言葉をつくるのはどうだろうか。
 言葉を作るということは、自分の感情を全部入れ込むことだ。だから、自分の今の感情を率直にあらわす漢字を書き出し、色々と組み合わせる。僕は、青池を表すのにふさわしいと思う「奥、深、青、群、紺、真、美、硬」の八字を書き出し、四字熟語「深奥美青」をつくった。幾つもの漢字の中から選び出すのだから、人によってできる言葉が違う。個性が表れるということだ。友達と作り、見せ合うのも面白いのではないだろうか。
 言葉とは、風情に富む美しいものでもあるが、元はと言えば、他人に自分の見たこと・聞いたこと・感じたことを伝えるためにあるのだ。だから、日本語だけでは伝えられないと感じた時、新しい、自分の思いが伝えられる言葉をつくってもよいのだと思う。今ある日本語は、その材料に過ぎないのだと思う。(一般化の主題)

   講評   nara

 おもしろい! かいち君は読書が好きだし、言語に興味があるのだね。まとめの部分は、言葉は道具であるとも言い換えられる。材料や道具はたくさんあった方がいいし、よりよい材料・いい道具というものもあるはずだ。そして、材料・道具を使う側の能力も問題になる。そして、作りたい(すなわち、伝えたい)という熱い思い、これも不可欠だろうね。これらがうまく重なり合ったときに、素晴らしいものが生み出されるということになる。かいち君の自作四字熟語もその試みの一つだ。ここに、中国語(漢文)の知識が加わると、四字熟語の完成度もより高まりそう。
【構成】すっきりとまとめてある。これだけでひとまとまりの作品として読めるくらい、完成度が高いよ。
【題材】白神の話はぴったりだったね。いい経験は、さまざまな場面で何かを考える題材を与えてくれるということが、かいち君の作文からわかるね。
 日本人がなぜ自然に対する微細な感覚を持っているのか。この説明もうまくまとめられた。最初に考えた「他国と接していない」という話は今回は削ったのだね。あの意見ももう少し練ってみると、おもしろい論が組み立てられそう。島国であることは、日本について考えるときに、忘れてはならない条件だしね。
【表現】今回のユーモア表現は「立派な感じ方」かな? ほんの少し辛味を加えたユーモアだね。
【主題】私はあなたではないので、全く同じ思いを抱くことはできない。だけれども、この思いを伝えたい・共有したい……そういう伝えたいものがある・熱い思いがある・その術を持っている、そうありたいね!
 ナルニア、進んでいるね!

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