低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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日本語の言葉 ショウ
桜の花が散り初めるころのある日、枝を離れた花びらが地面に達するまでのあいだの状態を、ぴたりと表す言葉がないのに気がついた。これと同じように、秋の信州で見たものはこんなものだった。からまつの細やかな葉が、同じように自分の重みだけで枝を離れ、金色の光をひるがえしながら、音もなく地表に降り積む。こんな光景を日記に書こうとしたが、うまく言葉が見つからない。これは日本語になくてはならない言葉のように思えるのだが…
以前僕は、マンションの屋上から花火や夕日を見ることが、年に何回かあった。花火が打ち上げられ、上空できれいに・・・爆発というと言葉が汚いし、割れる、砕けるというのも何かが違うような気がする。この瞬間と地上に落ちてくる様子を表す言葉がないのに気がついた。もうじき花火シーズン。日本にいたら見ることができるけれど、僕は見ることができない。夕日が沈む様子も、「きれい」だけでは表せない。何も他の言葉が見つからない。ポーランドの夕日はきれいだ!…(笑)
とにかくもう一度、日本の夕日を見たい。
桜の散る様子といえば、お母さんから聞いた話では、日本とポーランドの桜は全然違うそうだ。ワルシャワ大学で見た桜は、一つの花に花びらが十数枚ついていて、重たそうに首をたれ、花びらがしっかりとついている。日本の桜のはらはらと散るイメージから見ると、まるで違う花のようだということだ。
人間にとって言葉というのは、いくら見つけてもきりがなく、永遠に存在するものだということが分かった。普段は見つけようと思わない「言葉」だが、いざ見つけようとするとなかなか見つけることのできないものだ。日本に帰ればまた、いろいろと難しい表現が出てくると思う。しかし、ポーランド独特の、ポーランドでしかできないことも、いまするべきなのではないかと僕は思った。
講評 siro
ショウくん、こんにちは。似た話としてよい題材を選んでしますね。確かに花火というのは言葉で言い表すのは難しいものですね。ドーンという音は小さい子は泣き出すほどのものですが、それとは対照的に美しく空に広がる花火は何とも形容しがたいですね。「風情がある」という言葉がありますが、日本的であることほど日本語で表現するのは難しいのかもしれません。
お母さんに聞いた話はおもしろいですね。同じ桜でも場所によって違う花のように見えたりするのですね。日本の桜は日本の風土に合うように、そして日本人の心にとまるように咲いているのでしょう。
最後は言葉について考えたことをまとめています。最終段落の書き出しは、「人間にとって言葉とは、永遠に存在し、いくら見つけてもきりがないほどのものである。」としてもよかったですね。
大変よくできました。
▲三点リーダーは「……」とつけてくださいね。
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