国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   先入観の落とし穴   くるりんぱ

 ものごとを判断したり、それを味わったりするときには、その予備知識や固定観念がかえって邪魔になることがある。実際にものを見たり接したりするときには、これまでの知識をいったん横へ置いておき、そして裸の心で自然にまた無心にそのものと接し、そこからうけた直感を大切にする。そのあとであらためて、横においていた知識をふたたび引きもどして、それと照らし合わせることができればすばらしいことである。ものごとは先入観にとらわれることなく、ありのままをみることが大切だと私は思う。
第一の理由として、先入観があるとものごとの真の姿を見ることができないからである。大学時代の恩師に、いつも厳しい顔をしていて絶対に笑わない分析化学の先生がいた。私たちはその先生が本当に怖く、授業にはいつも緊張感がみなぎっていた。だから分析化学の実験だけは2〜3時間という長丁場にもかかわらず質問できる雰囲気もなく、ましてや私語などとんでもなかった。実験終了後は「こわかったね」と友達と言い合うのが常であった。卒業を控えたある時、先生と食事をする機会があった。その席で先生が、「私は学生と仲良くなって怒れなくなること、指導ができなくなることがこわいから、必要以上に学生との距離を置いているのです」と話してくださった。私たちも教育実習も終えたばかりで、生徒と仲良くなることと指導することのバランスの難しさを体験していたので、先生が話してくださったことは思い当たることが多い話であった。あんなに怖いと思っていた先生が実は優しいがゆえ、自分を抑えて私たちを指導してくださっていた事実に驚いてしまった。このように、先入観があると本当のことは見えてこないのである。
第二の理由として、知識に頼らず、自分の目で見たほうが自分の感じたことや気持ちを大切にできるからである。つい先日、ダ・ヴィンチの受胎告知を国立美術館に見に行った。行くにあたってあらかじめインターネットで鑑賞ポイントを予習してから出かけた。意気込んで出かけたものの、絵は意外に小さかったなぁということと、あとは鑑賞ポイントに書いてあったことを一つ一つ確かめたという満足感しか残っていない。絵からどういうことを感じたか、という肝心の鑑賞を全くしてこなかった。これではただの確認作業である。一方、私には忘れられない絵がある。それはヨーロッパのオランジュリー美術館で見たモネの睡蓮である。私は観光ブックのお決まりコースをたどっていくうちに、偶然その美術館に立ち寄った。部屋に入ると部屋中が睡蓮で埋め尽くされており、何ともいえない優しい色合いが目に飛び込んできた。その作品がどのような経緯で描かれたとか、どこが鑑賞ポイントとか、そんなことは知らない。しかし、その絵は20年経った今もはっきりと私の中に刻み込まれている。自分で見たこと、感じたことはいつまでも自分の中に残るのである。
確かに、知識があったほうが効率よくものごとを見ることができるだろう。しかし、『行動するためには多くのことに無知でなければならない』という名言があるように先入観や知識にとらわれることなく、自分の見方でものごとを見ていくことが大切である。だから私はものごとを素直な気持ちでありのままみることが大切だと思うのである。これからは私自身も先入観なしでものごとをじっくり見、そして自分の意見をしっかりと持ち続けたい。

   講評   hota

 「継続は力なり」と言いますが、その「継続」こそが本当に難しいものです。くるりんぱさんは、体験で作文を書いてから、丸5ヵ月が経過しました。お仕事の傍ら、そしてお母様としての家事の傍ら、作文を書き続けることは並大抵のことではないと思います。本当に頭が下がります。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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