創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   最近、と言っても(感)   かいち

 言語は、それまで接触がなかった言語と接触するようになると、そこに相互の交流が生じ、双方の言語の中に相手の言語によるいろいろな変化が起こる。それは言葉の問題だけでなく、文化文明にもかかわってくる。日本はあらゆる点で西洋文化を取り入れたにも関わらず併存文化の国になったのだろう。それは、社会的公的な面では西洋式を努めて取り入れ、家庭に戻るとすべてが日本式になるという内と外を区別する生活様式が、一種の社会制度上の緩衝装置として機能したからだ。それを可能にした要因の一つが、日本に高度の文化文明を簡潔に表現する力を持っていた漢字という言語要素が日本にあったからだ。それなのに、日本語にとっての漢字のありがたさを十分に理解していないことは残念だ。日本は実に多くの点で西洋の文化文明を真似てきたが、もっとそれを究極に実践し、西洋と生活習慣や言語の面でまったく同じにすることはできるだろうか。逆に、まったく他の文化文明を受け入れずにいることはできるのだろうか。どちらも限りなく不可能に近い。(要約、是非の主題)
 まったく同じにすることができないのは、西洋特有の「なにか」があると思うからだ。そして、それが日本人の肌に合うとも限らないからだ。この「なにか」とは、西洋人が当たり前のようにやっている細かいことだとか、多少の言語のなまりなどだ。それに、すべてを真似したとしても、ベットよりも布団のほうがいいとか、サングラスなんていやだなどと、不満が出ればどうしようもない。また、西洋に留学し帰国した人の疲労にかならず入っている、「キリスト教」との付き合いに対しても多くの人から不満が出るはずだ。(複数の理由一)
 また、逆に他の文化文明をまったく受け入れないのは、「不便さ」からして不可能に近い。私たちの使用している生活用品の多くは木材、鉄、それとプラスチックからなっている。このプラスチックは、発展途上国で開発することは無理であろうし、だからといって無くて良いというわけにはいかない。やはり必要なところは他の文化文明を真似することによって得るしかない。(複数の理由二)
 しかし、プラスチックを真似することによってその国独自の木工品などが廃れてしまうと懸念する人もいるだろう。そのような点を踏まえたときに、一番良い文化文明の取り入れ方が日本のような「併存文化」だと思う。他の文化文明の良い点だけを取り入れるので、その国の良い点と併存できる。そうすれば木工品も生き、必要なところにはプラスチックが入るという形が取れる。この「併存文化」の形こそ最も良い文化文明の取り入れ方ではないだろうか。(反対意見への理解、是非の主題)

   講評   nara

 今回の長文では、日本が「併存文化」を作り上げるポイントとして、漢字があったことが述べられていたね。言語や思想という分野における「漢字」を大きくとらえ直すと何になるかな。「自分らしさ・自分の特性」ということだろうね。ここが揺らいでいる状態で外部と接する場合、無批判に相手を受け容れたり、反対にかたくなに拒否したりということになりそうだ。いずれもよりよくあるためには得策ではないし、是非の主題で示しているように、不可能に近い。だからこそ、自分らしさが必要になるのだね。
【構成】要約をもう少し短くしてもいいかな。「それなのに……残念だ。」という筆者の感想部分は削ることができそうだね。
 複数の理由はよくまとめてある。他人が当たり前にやっていることは、自分にとっては当たり前ではない。この感覚のずれがある以上、真似はできても同じにはなりえないね。欧米のものの捉え方の根底にキリスト教があるというのはよく言われるけれど、彼らの表面的な行動をキリスト教に結びつけることは、私たちにはなかなか難しい。宗教的なことは理屈ではなく根付いているからだね。そう考えると、日本人にとっての漢字と、欧米人にとってのキリスト教とは、同じような位置付けにあるととらえてもいいかもね。
 全面的に受け容れることができないことの説明ができれば、その反対である全面的な拒否についても、説明はそれほど難くないね。
【表現】「ベッドよりも布団」あたりにユーモア表現を入れられそうだ。名言としては「ことごとく書物を信ずれば、書物を読まないことと同じである。」を使ってもいいかな。自分というものがあってこそ、書物も自らの血肉になりうるという説明から主題につなげられるね。
【主題】今回の主題は、文化や技術ということにとどまらず、個人の人間関係の構築という点で考えてもおもしろい意見文が書けそう。

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