創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ありがたや   キングドラゴン

「あー大変。魚が白点病になってる。」
母があわてた口調で水槽をのぞいていた。魚とは熱帯魚のことだ。母は、もう一つの水槽の水温を三十一度に上げて薬を入れ魚を移しはじめた。大きな水槽には水草がたくさんあって温度が高かったり薬を入れるとだめになってしまうからだ。
 熱帯魚を家で飼い始めたのは、今から四年前のことだった。母が父と結婚して、ぼくが生まれたので好きだった熱帯魚飼育を我慢していたが、ぼくが一年生の夏休み父が出張でいないすきに大きな水槽を買ってきたのだった。ぼくは、正直言って熱帯魚には全く興味がなかった。なぜならば、魚は犬や猫と違って、なつきもしないし、一緒に遊ぶこともできないつまらない生き物だと思っていたからだ。
 四年前、最初に飼い始めた魚は、今から二百万年位に出来たといわれているアフリカのマラウィ湖タンガニーカ湖に棲息しているアフリカン・シクリッドだった。前にもいったようにぼくは、熱帯魚に全く興味がなかった。けれど、ある日から少し変わってきた。それは、魚の産卵を見てからだった。オスが他の魚を威嚇しながら追い払っていた。他の魚たちは、水槽の隅に追いやられ、邪魔がいなくなったところで産卵だ。オスが体を震えさせながら円を描くように回ると、メスは卵を産んでは、すぐに口に含みオスの尻ビレにエッグスポットを追いかけるように一緒に回っていた。まるでワルツを踊っているかのように、それは優雅なものだった。時々、邪魔がはいりながらも産卵が終わり、メスは、うすいピンク色をした小さな真珠のような卵を口いっぱいにほおばっていた。それからのメスが大変だった。メスは稚魚が生まれるまでエサを食べられないからだ。三週間程もエサを食べられない日が続き、他の魚がエサを食べているのを横目で見ながら、やせた体でじっと耐えていた。メスは必死で卵を守っていたのだ。
 そんな姿を見てぼくは、親の大変さを教えられたような気がした。自分も今、両親に守られて生きている。ぼくが、母のお腹にいる頃、母はぼくが元気に産まれてきてくれるように食べ物や病気にとても気を使ったそうだ。だが、気を使ってくれたにもかかわらず、ぼくは、逆子で予定よりも一ヶ月も早く産まれ体も標準より小さかった。なので、母とぼくは、二週間程入院することになったそうだ。それから、現在に至るまで大事に育ててもらったぼくは、そのことには気づかずに生意気なことを言っては両親を困らせていた。でも、熱帯魚の子育てを見て、ぼくは、もう少し親の言うことを聞いて心配させないようにしないといけないなと反省し、両親への感謝の気持ちを気づかせてくれた魚たちに、心の中でありがとうと思うのだった。

   講評   kamo

 これは、とてもよく書けた作文だったよね。清書もバッチリでした。時間をかけてがんばってくれたかいがありました。
 8月は忙しそうだけれど、またがんばってやっていこうね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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